OSSが書けなくなった。リポジトリを開けない。issueが届くたびに心が重くなる。大学時代の苦い記憶が蘇ってくる。
夏季の長期休暇を迎え、コンピュータープログラミングの授業では難易度の高い宿題がどかっと出された。「助けてほしい」と同じ学科の知人がいうので了承したところ、放課後に知らない人をたくさん連れてやってきたのである。誰????
たぶん同じ授業をとっている人たちだが、一度も会話したことがない。課題を解くプロセスには興味がないようで、知人経由で回答だけ写したら、そそくさと退散していった。
彼らにとって自分は、単位を取るために使えるただの便利な存在。彼らはそうやっていろいろな人の時間に寄生して、効率的に学生生活をエンジョイするのだろう。時間を費やした人たちのことなど思い返すこともなく。
自分は搾取されている。そう理解した瞬間、強烈な嫌悪感が身体中に駆けめぐった。客観的にみれば些細な出来事かもしれないが、自分が人間不信に陥るには十分すぎるほどの衝撃だった。
OSSの保守は基本的に無償の活動だが、そんな事情とは関係なくソフトウェアは正しく動くべきである。不具合があればメンテナーが対応するのは当然という態度でissueが来るし、不具合の頻度やissueの対応速度はスコアとしてパッケージマネージャーに数値化される。常に競合との比較に晒され、誰かが機能比較表を作れば、ここが劣るとかあそこがダメだとかが無邪気に語られる。地獄があるとすればここだ。
一時的に疲れているだけだろうか。少し距離を置いて休んだら、また活動できるようになるのだろうか。インターネットの向こう側にいる、すべてのソフトウェアは自分の意図どおりに動くのが当然と思っている誰かのために。…無償で?