あいたいよ、も、いつも想ってるよ、も言い尽くしてしまって、わたしの中にはあなたに響く言葉はひとつも残っていないのかもしれない。好きだよ、心配してるよ、寂しいよ。何度も繰り返し言えばもうそれはただの挨拶以下の価値しかなくなってしまうの?
わたしから離れた言葉は擦り切れてしまうかもしれないけれど、わたしのなかにいる言葉たちはいつだってなまもので 好きは今でも採りたてのいちごみたいにみずみずしいし、寂しいはお腹を空かせた帰り道の住宅街のご飯の匂いみたいにリアルだし、あいたいは月のない夜の星空みたいに美しくて切ない。できたてを切り分けたばかりのお料理みたいに、いつだって目の前に差し出したいのに。あなたの中で当たり前になってしまったわたしにはきっともう魔法はつかえない。
もらえないこと、よりも、あげられないこと、のほうが、わたしを打ちのめしているのかもしれません。