過ぎ去ってみないとわからないことって本当にたくさんあって、最近ものすごく実感しているのが「ひとつも裏のない元彼」と付き合った経験の有り難さである。嘘なし、御為倒しも誤魔化しも一切なし、悪意など当然かけらもない。全部本音で100%優しさ。大人になってこういう人って探すのがとても難しい。子供の頃を含めても、こんなに突き抜けて善良な人に出会ったことはない気がする。
付き合っているときに全力でぶつかっているからこそ、別れてからも信頼関係がずっと続く。ひとつも疑わなくて良い相手というのはそれだけでストレスフリーで、少し喋るだけでもしんどい時や人間不信な時に物凄く効く。いちばん近くでその無邪気さを見てきたから、なんでも話せるしいつでも頭を預けられる。今は頭だけ。背中はちょっと無理だけど。面積の問題。
隣にいるとあんまりに眩しすぎて自分の影の部分がくっきりと見えてしまって、そんなわたしの自信のなさに相手が辟易したり、寄りかかりすぎて重くなったり、手がいっぱいになるとするりと逃げるところに腹を立てたりしたなあ。でも別れてしまえば一定の距離で、あのとんでもない明るさを欲している時に「おーい、ちょっと照らしてくれー」と軽く頼めて最高に助かっている。ぜったいに面倒くさがったりせず、真剣に話を聞いた上で一旦くだらない返答で笑い飛ばして肩の力を抜かせてから、きちんと意見を言ってくれるあれは優しさ以外のなにものでもない。真夏の太陽を凝縮したステロイドのようなひとだ。
本当に付き合って良かったし、別れて良かったなー。別れた時は散々泣いたし引きずったし関係の修復までには時間もかかったので、ここまで清々しく友達に戻れたのは僥倖だった。基本的にあまり男運がないし元彼と積極的に連絡を取り続けることってないのだけれど、このひとだけは一生友達でいて欲しいランキング1位かもしれない。そして実は寄りかかりたい時も割とある人なのを知っているので、安心して頼れる人と支えあって末永く幸せでいて欲しいな と、わたしのありったけの善良さで常々思っている。