幼馴染のN エピソード1

「ホントに覚えてないんだって」

幼馴染のNはちょっと困っている。

家も近かったから僕らは同じ幼稚園に一緒に通っていた。Nが迎えにくる。もう1人近所に同級生がいたのでいつも3人で幼稚園に通っていた。ある日

「Tちゃん(俺w)砂場で遊んでいこう」

とNが言った。Nと遊ぶのはいつも楽しかったから、僕は喜んで砂場に行った

山を作ってトンネルを掘ろうって事になって、砂だらけになりながら僕は一生懸命に掘った

「僕は山を作るからTちゃんはトンネル掘って」

Nがリーダー格なので指示をする。僕は素直なので楽しく掘るw

「Nちゃんできたよーーー」

満面の笑みで振り向いた僕に誰も返事をしない。。。

「あれ?あれれ?」

夢中になり過ぎたのかな? Nともう1人の同級生はもう公園にはいなかった

風がピューって吹いたw。砂山の横で静止画のように固まる自分の姿を鮮明に覚えてる(なぜか鳥瞰図的アングルでw)

「僕、置いていかれたの??」

もう寂しさの極みのような気持ち。。しょうがないので、トボトボと幼稚園に向かうと、もう門は閉まっていて、教室からは微かに幼稚園生達の声が聞こえる。

年少さんの僕は閉まった門を開けてもらう術など知らない。年少なりに考える。どうすればこの未知な状況を打破できるのか?

うちの幼稚園は朝はそれぞれで通園だけど、帰りはみんなで列を作って帰る。

「一緒に帰ればいいんだ!!!」

誓って言うが、遅刻を誤魔化そうとしたんじゃなくて、門が閉まっててどうすれば良いか分からなかったのだ

門から教室の入口までがはるか遠くに見えた

僕は門の向かい側で物陰に隠れながらお昼の下校を待った。怒られないようにとは思っていなくて、このイレギュラーな状況をなんとか平常に戻そうとしていた

下校の時間が来て校庭に幼稚園生達が並びだしている。そーっと列に忍び込んだ

そして無事下校の列に紛れ込んで、しれっと帰宅した。各アパートの前にはお母さん達がお迎えに出ている。

何事もなかったように僕は「ただいまー」と言った。ここまではうまくいった

が、同級生の女の子が「Tちゃんママ、これお知らせのプリントー。Tちゃんお休みだったから」

暗転w

いやー、怒られたw 物置きに閉じ込められましたw

僕としては僕なりの理屈があったんですが、ウソをついた事は確かなので怒られるのもしょうがないと思っていた記憶があります。

(これは本文とは関係ないんですが、子供の頃って自分が悪い事、怒られるような事をしたら自分でそれを分かっていたと思います。そしてその事をキチンと怒られる事で、大事にされていると感じていた気がします)

物置きのドアを叩きながら大声で泣きましたw ご近所さんには泣き虫で有名だったようで

「Tちゃんまた泣いてるわねぇ」ってくらいのほんの日常の出来事だったようですw

翌日、幼稚園の先生に、昨日はなぜ来なかったのか呼び出されて問い詰められました。素直な僕は

「Nともう1人と僕と3人で砂場で遊んでいて、置いていかれました」

Nともう1人もすぐ職員室に呼ばれて事情を聞かれてました。その時のNの「余計な事言うなよ」感は忘れられませんw

Nは今はおっとりとした人だけど、幼稚園から中学校位までは成績良くてスポーツ万能のスタータイプだったんですよ。で、クールでしたw

ピアノを習うと言った僕に「女の子みたいだな」と言い放ったのもNですw

25、6歳位の頃だったかな、この幼稚園の時の話をして

「何故置いていったのか? 何故職員室で冷たかったのか?」

問い詰めました。その時にNが言ったのが冒頭のセリフです

忘れるなよ!

Nは自家焙煎珈琲の豆売り店の店主です

現在は穏やかな人です

つづく

@congacoffee
音楽のこととか珈琲のこととかぼちぼち書いてみようかなと。。 打楽器は40年弱くらいやってまして、 焙煎は45年くらいやってます