3.9

conomi
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新しく買うiPhoneのことを考えていたら一日が終わった。

生放送、R-1、ENGEIグランドスラム。バラエティと漫才がやっぱり好きだー。寒い雪の日に何も手につかず部屋に篭る自分のもとにも、テレビ画面の向こうの笑い声は平等に届けられる。世界と繋がっているのだと感じる。

Xで回ってきた桐朋高校の卒業式の答辞がとにもかくにもよかった。文体も構成も洗練されているのだが、そのなかに学年の生徒全員と先生方の名前を一文字ずつ組み込んでおり、なにより「内輪ネタ」満載である。彼らにしかわからない、部外者には立ち入りのできない領域のなかで編まれた文章が、どこまでも自由で青くて尊い。どれだけネットの海で称賛されたとしても、それは大衆に向けたフィクションの小説ではない。それは彼らのリアルな日々の濃淡を凝縮したノンフィクションであり、その宝石のような記憶に、答辞の文面をなぞるだけの他者はけっして触れることができない。その文章の映し出すほんとうの光や影は、ただ彼らが生きることだけで証明されるのだろう。だから尊いのだ。簡単に消費されてはならない。それでも、こんなにも綺麗な方法で記憶を閉じ込め、解き放てる彼のことを、そんな刹那を永遠のように共有できる彼らのことを、純粋に羨ましいと思った。