調査先の劇団の監督とzoomで話す。ほんとうに優しくてチャーミングなひと。感謝してもしきれない。彼女のためにも、がんばって研究したいと思うくらい。夏頃に渡航するのが今から楽しみでもあり、不安でもある。それまでに自分はなにができるようになっているだろうか。
『アプローズ・アプローズ』を観る。以前ダウンロードしていたけれどAmazonのエラーで観られず、結局先延ばしにしてしまっていたが、Amazon primeで配信されていて驚いた。自分の研究をひとに説明するとき、まっさきに話題に挙がる映画だったので、観るのが遅すぎたとも思う。これから何回も繰り返し観る。
受刑者が『ゴドーを待ちながら』を演じる。彼らの人生と物語に共通する主題は「待つこと」。「彼らは待つことを知り尽くしてる。毎日、待ってる。食事、散歩の時間、郵便、面会、夜、眠り...。出所の日を待ってる」。
刑務所に行って彼らと話したとき、彼らと同じだと思った。わたしもずっと、なにかを待っている。なにを待っているのかはわからないけれど、なにかを待っていた。でもはっきりと知っている。彼らと自分はまったく異なる場所で、異なるものを、異なる時間、待っているのだと。
「矯正プログラムだと思わせるな。何者か忘れさせろ」「こっちは忘れない。タバコさえ買えない」舞台上で圧巻の演技に称賛の拍手を浴びたあと、すぐにバスに乗せられ刑務所へと戻る。彼らは番号で呼ばれ、身体検査を受ける。花やプレゼントは回収され、検閲され、捨てられる。舞台上と独房の中では、まったく違うものを待っている。
《他人が苦しむ間、俺は寝てたのか?今も眠ってる?明日目覚めたら、今日をどう思うんだ?エストラゴンとこの場所で、日没までゴドーを待った。》