3.25

conomi
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『春になったら』最終回。クライマックスは前回にあって、今日は最後というかもう番外編という感じがする。それくらい彼の死は補足的なもので、生きていても亡くなっていても、どちらでもいいようなくらい自然だった。「生きてても死んでても好きなほうの人と一緒にいればいいのに」という『anone』のハリカの台詞を思い出させる。このドラマを一言で言い表すなら、穏やか、だった。ガンの苦しみはそれなりに描かれるが、すでに決められた旅立ちへと向かう親子が、季節の流れの中で自然に変化しながら、終わりと始まりをゆっくりと受け入れていく。まるで悟りを開いているかのよう。それが不自然でありながら、あまりにも自然なのだ。最終話に慌てたように散りばめられた説明台詞さえも、辻褄が合っているように感じられる。わたしのなかの当たり前が変化している。不思議なほど身体にすんなりと入り、心地よくて大切なドラマだった。番組が終わってすぐにDVDプレゼント企画に応募する。商品が欲しいよりも、簡単でも製作陣に感想を伝えたい想いが勝った。季節をたのしみ、他者を慈しみ、日々の暮らしを愛おしむことが、月曜22時のリマインダーだった。きれいごとじゃないけれど、たしかにきれいだった。映像も。

『ブギウギ』もすごかった。歌手を辞めるというスズ子に向けられる、羽鳥善一の静かな怒り。ここでもまた穏やかな空気が流れるのだが、微笑みを含んだ口調でナイフのような言葉が紡がれる様子に、息をのんで見入ってしまう。こんなふうに自分勝手に、相手を見つめて、言葉を選んでひとを怒れるだろうか。

そしてバラエティをみて、ひとりでお腹を抱えるくらい笑う。明日までに書き上げなきゃいけない書類がある。もうすぐ日付が回る。