藝大の卒展に行く。久しぶりに見る幼なじみの顔に、なぜか泣きそうになってしまって目をそらす。彼女の研究についてはじめてちゃんと知り、なんて素敵で、あたたかい、緻密で真摯な研究・制作なんだとびっくりしてしまって、すごいね、おもしろいね、という言葉しか出てこなかった。派手ではないけれど、人びとの生活を記録し、過去を未来につなげていくために勇気をもって提案していく、すごく貴重な大作だと思った。実写的で芸術的な模型からは、人がいないけれど人の声が聴こえてくるようだった。あらためて、芸術は人類学ととても近しいのだなと思う。学部生の展示も、さすがにすごい。絵画も建築も服もVRも小説も詩もパフォーマンスも、どんなかたちでも作者やそれを取り巻く環境が全力で巻き込まれていて、その想いと存在が詰まっている。とても一日じゃ回りきれない数の展示にすこし酔いながら、全力で芸術を学ぶ学生のエネルギーを堪能した。
電車で、目の前に座る高校生の爆睡。絵に描いたように安心しきった寝顔、その大きく開いた口にたこやきを放り込んでみたらどうなるかなあと想像してわくわくしてみる。オンラインで参加しているゼミは、さっきからあまり話が頭に入ってきていない。