髪をきれいにセットして、スーツを着て、顔を赤らめた男性たちが、たくさん電車に乗っていた。なにかのパーティーだろうかと思い、それにしても人数が多いので、さぞかし大きな結婚式でもあったのだろうと勘繰っていると、「同窓会で〜」という言葉が聞こえ、しばらく考えてから、あーそっか、成人式か、と思う。みんな自分よりも年上に見えたのに、新成人って、かなり年下じゃないか!腰を抜かしそうになったけど、椅子に座っていて助かった。そういえばさっきの美術館に、髪をやけにきれいにセットした女性が一人で来ていた。もしかすると、そうなのかしら。だとしたらあなたは、きっと素敵な成人になられることでしょう。
中之島美術館のテート展、LIGHT 光。ターナーの素描画『講義のための図解』のなかで、監獄を描いた65・66を見られたのがよかった。ほかにもジョン・リネル、ジョン・コンスタブル、ジョン・ブレット、ヴィルヘルム・ハマスホイ、お気に入りをたくさん見つけることができた。なかでもジョン・エヴァレット・ミレイの『露に濡れたハリエニシダ(英題 : Dew-Drenched Furze)』は、けっこう長い間、見入ってしまった。近づくとそのコンスタブルの雪(白い絵の具で波を表現するもの)を思わせるような露に触れたくなるし、遠ざかると森のなかの光に吸い込まれていくようで、永遠に距離を変え角度を変え、あらゆるところから見ていられる作品だった。全体的に穏やかで淡い雰囲気なのに、その光は明るさも暗さも含んでいて、生きることの苦しみや死への希望を感じざるを得ない。だからこそ作品の側から逃れられなかったのかもしれない。ポストカードの紙質と相性がよいのか、ウィリアム・ローゼンスタインの作品のあたたかみが小さな紙の上に一層表れていて、今回のグッズの中ではそれがいちばんお気に入りになった。現代アートの部分も、「光」がテーマだからか、ただ美しい、きれい、という気持ちでたのしむことができたから、自分にとっては敷居が低くてありがたかった。ああ、行ってよかった。
帰りに、京橋駅のフランクフルトをはじめて食べた。前にテレビを見ていたときに、電車好きな子どもが、フランクフルトに味がついているからケチャップやマスタードは必要ないんだと紹介していた。ちょっと食べてみて、たしかにと思った。