『夜明けのすべて』を観る。職場でパニック発作を起こした山添を家まで送り届け、差し入れを渡すシーン。「病気にもランクがあるってことか。PMSはまだまだですね」という美紗の台詞が、寂しくも愛ある微妙な関係性の始まりを告げる。主演の上白石萌音さんの声はいつも適度な水分を含んでいるから、切ない言葉も瑞々しく、棘のある表現もまあるく、安心できる温度で響く。美紗の転職と引越しも、山添の決心も、拍子抜けするほどあっさりと描かれる。わたしは誰かの物語において傍観者でしかないので、そのすべてを追うことはできないし、するべきでもないのだと思い知らされる。ふたりにとって別れは常に側にある。ふたりが一緒に帰路についていても、山添が途中で忘れものに気づいてあっさりと逆方向へ進んでいくし、一緒に家にいても、あくびをする相手を見てさっとその場をあとにする。生きることのしんどさを共有して「助け」合うような関係は、だらだらと長く続く必要はないのだろう。匂いや手触りまで感じられる映像の画質が、美紗の、山添の、栗田科学のみなさんの、そしてわたしの生活の証明のよう。なにげない空のカットで涙が溢れた。最後には花粉症もあいまってずるずると泣く。あんなにもあたたかな気持ちで映画館を出たのは久しぶりだった。
コメダで作業して、無印で買い物して、一旦帰宅。スーパーで食材を買い、18時半頃にしっかり防寒をしてまた家を出る。自転車屋さんまで歩き、5万円は思っていたよりだいぶ高いなあと思いながらも、また来週入荷したら行くことにする。あと3, 4年通学するなら全然お買い得ですよ、と優しいお兄さんに言われて一瞬納得するものの、わたしはいったいあと何年、合計どれくらい学校に通うのだろうと不思議に思う。いま自転車を買うなら新しいiPhoneは我慢したほうがいいだろうし、AirPodsやヘッドフォンを買えるのはもっと先になりそう。先のことを考えるのは苦手だ。