2.29

conomi
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うるう年、本来はなかったはずの日だから今日なにが起きてもなかったことにできる。

マルチモーダル人類学勉強会のミーティングと、そのあと飲み会。たのしくて優しくて大好きなメンバーなのだけど、あまりに自分の中身が空っぽだということを1秒ごとに思い知らされる。とても惨めな気持ちで研究室に篭り、なにをするわけでもなくぼーっとしてから、帰宅している。学術の話も、調査の話も、映画や文学や音楽も、ことごとくわからない話ばかりで、自分がすっとんきょうなことを言っていないかといつもハラハラして、口数が減ってしまう。そもそも飲み会は苦手なのだ。たのしそうな雰囲気を隣の席から眺めていられたらよっぽどいいのに、あの輪の中に入ると自分も時折スポットライトを当てられて、話す順番が回ってくる。どんな言葉を選んだらいいのか、みんながどんな顔をして聴いているか、伝わっているか、そもそもわたしは日本語を話せているのか、ぜんぶわからなくなる。しばらく黙っているわたしがたまに質問をすると、なんだか太々しく聴こえるのだろう、思っていたのと違う伝わり方をして、思っていたのと違う返答が返ってくる。今どう思われたかな。ちょっと酔ってるから発言を控えよう。ちっとも必要のない誇大な自意識のせいでぜんぜん酔えない。知識のなさを露呈してお葬式のように暗い顔をしていても気を遣わせてしまうだけだし、一つひとつ質問しても迷惑だろうし、わかっているふりをすることもできないし、どんな顔をしていれば良いのかわからなくて、とりあえず黙ってにこにこしている。みじめだー。

でも、何者でもないのに大口を叩いていた「海外大生」の頃の自分よりは、今の自分のほうがちょっといいなと思える。ゼロからスタートしているんだからできないのは当たり前、がんばらなきゃだめだよね。