妹が受験生なので帰省を短く切り上げろというお達しが出、元日から電車に乗る羽目になったがおかげで良い読書初めができた。程よく空いている冬の電車というのは、一二を争う読書向きの場所だと思う。ふかふかのローカル線のシート、程よい陽射し、熱いくらいの足元のヒーター、どこをとっても最高だ。本は物理でも電子でもいいが、できれば両方持っていって適当に交互に読むのがいい。いつか一日本を読むためだけに電車に乗るやつをやってみたい。
さて、年初めからいい本を読みすぎて3冊紹介の枠に収まらなくなりそうなので、今回は初読縛りで紹介する。再読で良かった本については記事のおしりにちょっとだけ書くので是非読んでください。なお、このシステムは、うっすら斜線堂有紀先生の「斜線堂有紀のオールナイト読書日記」をお手本にしています。

ということで今回の3冊。
ピーター・ゴドフリー=スミス『タコの心身問題』
言わずと知れた名著ですね。やっと読めました。
タコって身近な割にあんまり詳しくない生き物筆頭だと思うけれど、この本はかなり基礎的なところから進化生物学や身体の仕組みに即した解説を入れてくれていて助かった。著者の体験談や論文から引いてきた実例が多くて専門書にしては読みやすい。続編があるらしいのでそちらもいずれ……。
夜馬裕、若本衣織『七つの異界へ扉がひらく 神隠し怪奇譚』
きさらぎ駅、リミナルスペース、SCPが好きなオタク、今すぐこれを読みなさい! 実話怪談にしては長尺かつ不可思議・不条理系の重い話が多くて読み応えばっちり、異界をテーマに粒ぞろいの話が揃っている。今、竹書房から1冊買うからおすすめをと言われたらこれか『妹が死んだときの海亀』をお勧めすると思う。
大槻ケンヂ『ステーシーズ: 少女再殺全談』
2025年に? 2025年に。やっと読みました。ヤッタ~! いいんですか!?
顔がかわいくて年下の男の子が極限状況下で上官に「女の子の代用品」として抱かれてるやつって本当にいい。男の子の「前」もちゃんと機能していると倍嬉しい。この欲望が叶えられることあるんだ……。
これが良かった人はこちらもおすすめ。令和になってもゾンビはずっとホットコンテンツだ。
おまけ:再読で良かった本
汀こるもの『立花美樹の反逆』栄えある新年初読書はこれ。もう何回読んだかわからないしどうしてこれを選んだのかも覚えていないが、何度読んでも新鮮に面白いのですごい。いつもありがとうございます。
佐藤究『テスカトリポカ』当然いい。ものすごい暴力の奔流が『神話』に『成る』瞬間を目撃したくはありませんか? 神話が好きな人、暴力が好きな人、今すぐに読みなさい。あと多分FGOをやっている人も読むといいと思う。こんなに面白い小説を読むことができて我々は幸せです。
牧野修『月世界小説』新年早々フォロワーさんがこの小説の感想で4.2万いいねの大バズを遂げ、翌週には重版が決まって最高だった。パンチの強いあらすじにまず興味を惹かれる人も多かろうが、これは愛の話なんですよ……この愛を目撃してください……。