『じゃあ、あなたはきっと、変わってしまったんだ』

85
·

夢の中の女の人が、ガヤガヤとする室内の中で確かにそう言った。私はとあるゲームの少年キャラクター( このキャラクターが本来こんなキャラクターではないかも知れないことも、夢から覚めた今のわたしにはわかるので、ファンのために名前を伏せている)の、意識の部分だけを理解して上から眺めるポジションに納まっていた。そのキャラクターそのものではなかったけど、夢の中ではそのキャラクターの理解者かのように意図が汲み取れた。少年は言った──「それは少し違う。ボクは変わってなどないよ。ボクはこの道を選びたいと思って選んだから、変わったのは運命であって、ボクはボクのままだと思う。」

女の人はつづけた。「何気なく決めたことだろうけど、決める前のあなたはもう戻ってこないんだよね?」

「そうだね。ボクは戻ろうと思わないし、ヒトはすすむべきだ。」

少年の上とも横ともつかない位置から、わたしは少年と女の人と、まわりのガヤガヤしている人たちを眺めていた(神様とか観測者ってこんな気持ちなのかな?)。少年の手にはふしぎな形の人形があって、周りにもたくさん置かれていた。それは創造できるようで、なんらかの力で……例をあげるなら、少年が目を閉じれば生み出せるようだった。夢の中はふしぎなもので、人形が少年の運命の形を意図していることが、わたしにはわかっていた。少年が人形を選んで撫でて、選ばれなかった無数の人形にひし形の模様を刻んでいた。女の人はもう何も言わなかったし、いつのまにかガヤガヤしてた部屋はなくなって、小さな木造の小屋で少年は人形とともに座ってお茶を飲んでいた。

わたしが上とも横ともつかない位置から、「これでいいの?」って問いかけても少年からの答えはなく、ただ小屋の扉が開いて、駆け込んできた親しきものたちとハグをしたり、笑ったりしていた。それが答えなのかな……と思ったところで目が覚めた。

考えさせられる夢だったな。

@cpllfa
物語の果てで、きみを待っている。