あえて最高にしない。あえて完璧にしない。

cubbit
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最高のキーボードを買わない。最高の椅子を買わない。最高のディスプレイを買わない。同じものはあまり買わない。自分が使うものの品質は、むしろ多少バラつかせるくらいにしている。高いものを買って一生使うくらいなら、安物を買って何度も買い替える。サステナブルでないと怒られそうだが。

なぜなら、最高を求め完璧に慣れてしまうと、最高でなくなったときにそれが気になってしまうから。これは生活のカオスエンジニアリングである。重要なのはパフォーマンスの安定であり、瞬間最大風速の史上最高記録を目指すことではないということだ。マラソンでは全速力で走っても記録は出ない。安定して走り続けられる速度こそが、最終的には最高の記録を出す。それに、状況やニーズは必ず変わっていく。最高を目指して繊細にチューニングされた環境は、状況の変化にも鋭敏に悪影響を受ける。わざと自分から環境を変化させたり欠陥を設けることが、予期せず訪れた変化や欠陥への耐性を生み出す。

理屈でいえばそういうことだが、性格的に最高を目指すのが面倒くさいのもある。私はいわゆるエンジニア気質、オタク気質と見られがちなのだが、実はいわゆる『沼』に嵌らないタイプなのだ。あと、最高の道具を揃える金もない。