夢の世界

cucco
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夢って不条理で、目覚めてから「何故こんな夢を見たんだろう?」と訝ることもしばしばありますよね。毎回変な夢を見ることが多いのですが、数回に一回「あっ、これいつものやつだ」という感覚のある夢を見ます。

それはシリーズもののように舞台がひとつの世界で、私はその夢の中では常に大学生であり、この道をこう行ったら以前住んでいたマンションがあるだの大学の近くにあるアパートには友人の誰々が住んでいるだの、その世界についての知識をちゃんと持っていてそこでの生活を営んでいます。実在の知人や友人も出てきますが夢の中でだけの友人もいます。その友人との思い出が、夢を重ねるごとに増えていくわけです。

夢の友人の下宿に遊びに行って夜中までだらだら遊んだり、一緒に出かけたりくだらない話で笑ったり、本当に楽しくて、でも夢の中で私は「これは夢なんだよなぁ」と自覚しているので悲しくもあるのです。

でも他の夢と違ってこのシリーズものの夢は何度も見たおかげで世界観が私の中にしっかりと根づいている。たとえ今後二度とこの夢が見られなかったとしても、色んなことを覚えている。住んでいたマンションの日当たりの良さ。部室の壁に書かれた落書き。几帳面に整頓されていた友人宅の冷蔵庫。もしもこの先この世界の夢を二度と見ることがなくても、色んな思い出をちゃんと覚えている。かつて自分が本当に大学生だった頃の、今はもう便りの途絶えた友人との記憶となんら変わらない密度で。そう考えるとあまり寂しくはない。

とはいえ、夢見は良いに越した事ないしこの先もあの世界の夢が見られたらいいなとは思います。それではおやすみなさい。

@cucco
詩人は中原中也と金子光晴。画家はクリムトとクレー。猫も犬もどっちも好き。音楽はノンジャンル。映画ならハッピーエンドは好みません。よく病みすぐ復活します。