バスで背中に虫がついている人がいたので虫ついていますよ、と言って払ってやった。虫をつけていた人がえっえっ、となっていたので地面を指差して落ちた虫を教えてやった。虫のせ人は地面の虫をみてもじもじしている。虫がふみつぶされて死ぬのが心配なのかな?拾って窓から投げたほうがいいだろうか、と思っているうちに虫のせ人がそろそろとたちあがって指で地面に落ちた虫を拾って潰した。ティッシュとかもってないみたいで潰した指を所在なさげに身体の前において座りなおした。わたしがびっくりして固まっているとわたしの隣のおじさんがスマートにティッシュをわたしてあげていた。おじさんはお礼を言われた。わたしは言われなかった。
地面に落ちた虫が他の人につくのを心配したのか、それとも誰かが踏んだときに靴の裏につくのを?わたしはバスの床に虫がいることを大したことだとおもわない。でも、そうではない人もいるのかもしれない。バスの床に自分の連れてきた虫が野放しになっているより連れてきてしまった責任を果たすために素手で潰すほうがましと思う人が…。もしかして自分が虫を連れてきたせいでイヤな目にあったことがあるのかな。自分の背中についていた蜂が最愛の人を刺してしまってアナフィラキシーショックで死ぬとか。考えても果てしないことだ。
わたしは虫を払ってやらないほうがよかったのかもしれない。そうしたら虫は死なずにどこかの駅について、おじさんのティッシュも減らずにすんだのかも。