柔軟さを失いたくない

だりあ
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就職したての頃、15年近く前のこと。

上司が「占いをしてくれるカフェ」に連れて行ってくれた。

その上司は当時50代後半の女性で、私はその人にとても憧れていた。

はつらつとしていて、人当たりがよく、裏表もなく、いつも機嫌がいい。

なによりとても品のある女性だった。

新卒1年目の私の隣のデスクで、いつだって話しかけやすい人だった。

そんな上司が連れて行ってくれたのは、郊外の国道から小道に逸れた先にある、上品な店構えのカフェ。

占いをしてくれたのはその店の御婦人で、年齢は上司より少し上のように見えた。

その人は私の手のひらを見ると「夢見る夢子ちゃん」と言った。

それは否定できないな、と思っていると、その人は続けて親の影響は強くないこと、年齢を重ねるほど頑固になっていくことを指摘する。

前者はその通りだったし、後者は容易に想像できる話だったので、未だに忘れられず戒めにも感じている。

あれから15年近くが経って、私は30後半になった。

当時より知識や経験を積んで、私というものが強固になってきたことを感じる。

一方で、頑固になっていくことを不安にも思う。

誰かの頑なな様子に、あれは私の姿ではないかとひやりとした気持ちになる。

そういう機会ごとに、ちゃんと聞く耳を持っているか、自分を省みることを怠っていないか、思い返す。

どこまでも、しなやかでありたい、その意識は持ち続けたい。