オフィス。
職場の先輩が「この選択肢なら脳死で選べる」と言っているのが少し離れたデスクから聞こえた。あーそういえば、「脳死」という言葉は後輩も使っていたなーと思った。
彼ら/彼女らは簡単に言うと、考えることなしに(without thought)という意味で「脳死」使っている。≒思考停止。別に本当に脳死状態の話をしているわけではない。
インターネットでは、この言葉はわりと前から市民権を得てスラングになっていた。なんとなく気持ちが悪いなとは思っていたけれど、いざ自分の近しい同僚が使っていると、その違和感や忌避感は突然大きくなる。
その忌避感の源は「身内が脳死状態の人が聞いたら、どう思うのだろう?」ということに尽きる。
別に見ず知らずの他人がこういったワードを使っていても、何の気にもならない。ただ、自分の尊敬している先輩や、一目置いている後輩が使うと、どうにも嫌な感じがする。「この人、デザイナーなのに、言葉にこだわりもなければ想像力もないんだな」ということが分かるというのも輪をかけてつらい。
ただ、こういったスラングを煙たがるのは、言葉狩りだの老害だの言われるんだろうなと思う。行き過ぎると焚書ならぬ焚語(?)になるんだろうなとも。
同僚に指摘をするほどのこともないし、自分も似たように良くないワードを使ってるかもしれないし、他人に厳しくすると自分に返って来るし……。まあ、もやもやしたまま人生は続く。