ラテ

倉田タカシ
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 年が明けてからは大丈夫です。

 去年はこの、ファミレスのドリンクバーでカフェラテを出そうとするとちょうど牛乳が切れている(通常、コーヒーマシンに隣接したボックスのなかに1リットルの牛乳パックが入っていて、そこから供給されるのです)、という現象にたびたびみまわれましたが、その呪いは去りました。いまはべつの常連客のかたにとりついているものと思われます。こういった不運の集中は、そもそもわれわれの暮らす宇宙それ自体がものごとの不均一を奨励する時空構造をもっており、それによって生命の誕生がもたらされたのでもあるから、ずっとついてまわるものなのでしょう。なにが悪いかといえば物理定数が悪い。でも物理定数あっての人類なのでしょうがない。そのようにいつも思っております。物理定数を恨んだことのある人は信用できる、物理定数を恨むところまでいってからが人生の本番、となかば本気で考えていました。定数は「じょうすう」と呼ぶほうが好みです。

 ドリンクバーと日替わりランチを仕事の供とする生活も10年を超え、ドリンクの選択も、1日に2杯までのカフェラテ、あとは麦茶の熱湯割りのみ、ときわめてミニマルに限定されてきました。(それで元がとれているかというと、まあ……ぎりぎり……?)ちなみに、以前は「花盗人」というのをよくやりました。アールグレイの茶葉に花びらを混ぜた「エレガントアールグレイ」というのが某チェーン店においてあって、これのエレガント部分、つまり花びらだけをとってお湯をそそいで飲むというものです。カフェインを摂りすぎないように気を使った結果そうなりました。それで元がとれていたかというと、まあ……半分は席代みたいなものというか……