歩と歩

倉田タカシ
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 むかし、「歩と歩(ぽとふ)」という名前の飲み屋が赤羽にあって、そこの定番料理のポトフがとてもおいしかったんですよ、

うちでつくったポトフの写真

 というお話を今朝、ゆうべのポトフをあたためなおしながら考えました。

 歩と歩のポトフは、基本の具はいつも変わらないけれど、そのときどきでちょっと変わった、ときに奇天烈な具が入っていて、たとえば、ちくわぶや餅巾着が入っていたことがありました。想像してもらえばわかると思いますけど、すごくポトフに合います。ぴかちゅうの形をしたカマボコが入ってたこともありました。これは若干浮いてたけど、お客はウケてました。

 そういうふうだったから、小さいキューピーちゃんの人形が入っていたときも、ああ、そういう形の練りものなんだな、と思って素直に口に入れた客が(僕もですが)続出し、店のおかみさんが「みんな、大丈夫?」と呆れていたのですが、ポトフにキューピー入れときながら「大丈夫?」はないんじゃないのと思ったものでした。思い出話をしてたら久しぶりに行きたくなっちゃったな……。