理由という双子

倉田タカシ
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 理(ことわり)と由(よし)という名前の双子が、自分たちの名前をあわせると「理由」になることを不思議に思い、その理由を知るため、ナイアガラの滝のうしろの岩盤に掘られた迷路のようなはてしない通路を探検します(お母さんがそこの奥にある特殊機関で働いているので、仕事中で叱られるかもしれないけどなるべく早く知りたいという思いがまさり、行くことにした)

 迷路には危険な魔物がいて、双子の装備は、曾祖母の霊をやどしたアーミーナイフと、大きな袋いっぱいに詰められた、すべて茶色のM&M's。これは、ある人気ロックバンドのライブの準備に際して不用品として廃棄されたものですが、よく知られた逸話はじつは表向きの説明で、実際にはライブにあつまって害をなす怨霊を封じ込めて棄てたものなのです。これを、迷路で出くわす魔物に投げつけて撃退します。魔物の半分くらいはただお菓子を喜んで食べるだけですが、そのあいだに逃げるのです。ひいおばあちゃんのアーミーナイフは、そんなの刺すのやめなよ、という助言をしてくれます。

 いろいろあってお母さんのところに着くと、お母さんもびっくりしますが、名前についてはたまたまそうなっただけで特に意味はない、という真相があきらかになります。ここまでが第一部で、第二部は、使い切れなくてたくさん残ってしまったM&M'sを、お母さんがつとめている特殊機関の所長がうっかり食べちゃってえらいことになります。やばい……国家存亡の危機……!

(理由という双子、というタイトルは哲学寄りの人文書っぽくてかっこいいな、という出発点だったのですが、ぜんぜんそっちに持っていけませんでした。後日またトライします…)