認定中古車

倉田タカシ
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 かえり道、中古車販売店に置かれている車に、メーカー認定中古車であることを示す札がついているのに気づきました。なるほど、メーカーが認定した中古車なら、性能保証があったり、純正のサービスを受けられたりするのでしょうな、と免許を持たない人間なりに想像してみたのですが、いや、実際のところ、それは「まちがいなく当社のつくった車です」という根本的な事実の認定なのかもしれない。ちかごろの乗用車はきわめて高い擬態能力を持つようになっており、外見上はまったくニッサン車にしか見えないのに、ニッサンの特殊な技術者が精巧なデバイスを用いて検証すると偽物であるとわかる、そういったP・K・ディック的な「にせもの」- シミュラクラがいたるところにある、というのが現代の状況なのかもしれません。もうすごく行くところまで行っちゃってるのかもしれません。免許を持っていないのでいままで気づかずに生きてきてしまいましたが。にせものの車に気づかぬまま乗っているとどうなるかというと、自分自身もしだいににせものになっていくのです。「しだいに」というのがいちばん怖いポイントなのではないかと思います。

 あと、免許を持たない人間としては、もうかれこれ何十年もつづく傾向として、ファミリーカーがおしなべてコロコロしたボディにいかついフェイスをくっつけて走っているのがなんとも可笑しいというか、妙な現実だなあと思っています。