深夜2

倉田タカシ
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「なんでも願いを叶えてやろう」

「帰れ」

「……あのー、あなた、すごく利他的な願いごとをいいそうなタイプだと思うんだけど、そういうのないの? 世界平和とか」

「平和がなんなのかわかってたらそんな雑な願いごとはしない。そして、もし世界平和などというものを願ったとしたら、それに対する妥当な答えは『いまから100年後に恒久的な世界平和が実現するように布石を打ったよ! 驚愕の速さでしょ? 人類の意識が根本的に変わるために100年のあいだにあと3回の悲惨な世界大戦が起きる必要があって、そのひとつめに巻き込まれてあなたも死ぬけど我慢してね!』などになる。願いが本当に叶えられたかどうか確認できないのでは意味がない」

「いや、そんなことしなくても、全人類が平和を望むように、ちょっと気持ちを変えてやればいいんじゃないの……?」

「人間の複雑さを甘くみすぎているし、そういう雑な精神操作を行えばまちがいなく副作用で世界が滅びる」

「……そこはもっと人間を信じてあげてもいいんじゃないの?」

「皮肉な結末をもたらすために願いを叶えにきたんでしょ?」

「そうです」

「(やにわに窓辺へ駆け寄り、遮光カーテンを引き開ける)」

「うわーっ(朝日をあびて消滅)」