忘年塊

倉田タカシ
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 忘年塊という大きな塊(かい)が幹線道路を塞ぐので、ひとびとも我にかえって仕事をやめ、忘却という人生でもっとも尊い営みに身をひたすことができるようになるのです。わたくしはぜんぜん仕事が終わってないので、業務状態のままシームレスに年明けを迎える予定になっております。しかし、そのようなわたしの大動脈を忘年塊という小さな塊(かい)がたわむれに塞ぐかもしれず、恐れています。はやく忘却したい。いえ、はやく仕事を納めたい。しかし、クリスマスが終わってから大みそかまでの数日間、都市ぜんたいが忘却のなかにあるかのような清々しく冴えた空気の中で仕事をするのは、このときだけの独特な心地よさがあってよいものです。心に焦りを抱えつつも平穏に包まれ、はかどる。気がする。ここからが2023年の本番であるといってもいいような気がいたします。今日はとりあえず丸鶏を焼きます。

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