続・時計

倉田タカシ
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 動作を上書きできていない……やはり時間がかかる……。洗い物をするときに顔を上げればすっと目に入る真正面のポジションに小さい時計を移動したのに(以前は、邪魔にならないようにカウンターの隅に置いてました)、それでもひょいっと身をかがめて居間の時計をうかがってしまいます。以前は気づいていなかったけれど、洗い物をするときの立ち位置からは、たんに目を上げれば時計そのものは見えるのです。ただ、窓からの光が反射するせいで文字盤を読めない! だから身をかがめなければいけないのであった……べつにそんなことあらためて認識しなくてもよかった。

 居間の時計を見ちゃうたびに敗北感とともに自分の動作を省みるようになってしまい、冷蔵庫まえのポジションだとこんなにグッと勢いつけて足をふんばって頭をしっかり下げて首をのばしていたのか……とか、そうです、わたしが神経質なおじさんです。

 ヘンなおじさんの唄は、喜納昌吉&チャンプルーズの「ハイサイおじさん」のメロディをもらっていることで知られていますが、神経質なおじさんの唄は、一本調子でギスギスした感じの「デデデデデデデデ」というエレクトロビートにのせて、耳障りな小さい声で「神経質なおじさん 神経質なおじさん」と連呼する、ぜんぜん心地よくない感じの曲です。

 神経質なおじさんっ(デデデデデデデデ)

 神経質なおじさんっ(デデデデデデデデ)

 神経質なおじさんっ 神経質なおじさんっ(*この小節だけコード変わる)

 神経質なおじさんっ(デデデデデデデデ)(*またコード戻る)

 

 (スーサイドみたいでなんかいいような気がしてきた)(スーサイドはコード進行なくない?)(それは曲によらない?)