この季節、100円均一ショップとかでハロウィングッズを眺めるのが好きです。きれいな色のプラスチックで成形されたなんかかわいいもの(プラかわ)がちんまりと棚に並ぶ光景には、そこはかとない寂しさのまじった安心感があって、なにかすごく「わたしたちの文明……」という感じがする。ふわふわした消費の祭りにいつまでも興じていたい、でもこのモラトリアムもそう長くは続かないのかもしれない……。あと、9月の末からハロウィン体制になり、11月になったとたんに間髪いれずクリスマス商戦に突入する血眼コマーシャリズムはちょっとどうにかなりませんかと毎年思います。生活がかかってるんだよといわれればそうですよねという感じなのですが……
以前から提唱しているのですが、ハロウィン期とクリスマス期のあいだに、クッション的に一週間くらいべつのものを売る時期を設けてほしいんですよね。具体的には、白い立方体をさまざまなサイズで棚にぎっしり並べて販売してほしい。きっとすごく心が休らかになって、その先のクリスマス商戦をより華やいだ気持ちで楽しめるようになると思うのです。消費者にも小休止が必要です。
立方体はほんとうにただ立方体なので、「インテリアに!」とか書いたポップをつけるのは絶対におやめいただきたいです。材質にはバラエティがあってもかまいません。なるべく材料費が安いのが(見るからに安そうなのが)いいです。ただ、歪みの少ない、フラットですっきりしたプロダクトになっていることは大事な条件です。値札には[ □ ¥300 ]とか書いといてください。値段だけで、サイズなどの付随情報はいっさいなしでお願いします。数は多ければ多いほどいいです。サイズの範囲も、数メートル角から数ミリ角まで広く用意していただけましたら幸いに存じます。通常の商品のスペースを圧迫するくらい置いてください。100円均一ショップの棚はたいてい白なので、そこに白い立方体が大量に置かれるのはとても心にやさしく温かい光景になると思います。コーヒーショップ・カルディも、シーズンにはハロウィングッズやクリスマスグッズをたくさん並べて店頭を華やかにしてくれますが、こちらでもぜひ立方体シーズンを展開してほしいです。おしゃれな木の棚が白い□で埋め尽くされるのもたいへん趣の深い光景であろうと思います。マジでやってほしいです。お願いします。
店舗数の多いある100円均一ショップチェーンは、「はっぴーぷらいす ぱらだいすー」という店内ソングでおなじみです。この歌、年を経るにつれどんどん社会風刺のためにつくられたベタな虚構のようになっていくわたしたちの社会をいっそう虚構へひきずりこむ悪魔の音楽なので、これが流れてくるたびにわたしは耳を覆って店の外へ飛び出すのですが、白い立方体のシーズンにはとても映える歌だと思います。この歌が流れるなか、それぞれ白い立方体をかごに入れ、あるいは両手にかかえてレジに並ぶ人々。ぜひ日本中でそのような現実が発生してほしい。
白い立方体、もちろん大量に売れ残りますから、大晦日に海岸に積み上げて燃やしてください。そこまで込みの儀式です。見に行きます。みんなで輪になって踊ってもいいです。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。