ベッドに突っ伏して泣いていると、控えめに部屋のドアがノックされた。
「なに?」
鼻を啜りながら返事をすると、「おばさんが心配してるぞ」と顔を覗かせたのは意外にも幼馴染だった。
「また振られた」
一体どうしたんだ、と問いかけてくるmkにそう言うと「ああ」と納得したような声で頷かれて、カッと頭に血が上る。
「いいよね、mkは。可愛い彼女と幸せで!」
そう言ってベッドのクッションを投げつける。勢いよく、されど明後日の方向に飛んでいったはずのそれを難なくキャッチしたmkは、「何を言ってるんだ」と首を傾げる。
「もういい、放っといて!」
「待て。誤解しているようだからこれだけは言っておく」
mkはそう宣言すると、つかつかと部屋に入ってきた。
いくら幼i馴i染とはいえ、成i人女性の部屋にあっさり入り込んでくるのはどうなのよ、と文句を言う前に、カーペットに膝をついたmkはこちらの顔を覗き込む。
「彼女はいない」
わざわざ目線を合わせてそう言ってくるものだから、「はあ?」と露骨に顔を顰めてしまった。
「この前、見たんですけど。髪の長くて可愛い女の子と歩いてるところ!」
「大学内だろ。マiネiージiャーじゃないか?」
「知りません!」
「多分そうだ」
「じゃあそうかもしれないけど、あの子の方は絶対mkのこと好きだよ!見てればわかる。あんなベタベタベタベタ……」
「そうだったか?」
「そうだよ。肩とか腕とか、隙あらば触ってたじゃん」
触られるのもどうかと思いますけど!と続ければ、なぜかmkはにやりと笑った。
「よく見てるな」
「目に入っただけです—」
「オレは、お前が彼i氏といるところは極力見ないようにしてたけどな」
「……なんで」
似合わなかったとでも言いたいのだろうか。
きっと睨みつければ、mkはぐっとこちらに身を寄せた。
パiーソiナiルスペースをまるで無視したような距離感に、「なに」とその体を押し返そうとすれば。
反対に、ぐっと手首を掴まれた。
「そんなの、お前が男といるところを見たくないからに決まってるだろ」
「……はい?」
「もう、いいよな。別れたなら、遠慮はしない」
「え、ちょっとどういう……」
「わからないのか?」
息がかかるほど顔を近づけられて、体が熱くなってくる。
mkはそんな私を見てふっと笑うと、空いた手でくしゃりと頭を撫でた。
「とりあえず、まず昔みたいに呼んでくれ」
そう言われて咄嗟に名前を呼ぶと——、一瞬虚を突かれたような顔をして、嬉しそうに笑うから、涙はどこかへ引っ込んでしまった。
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mkさんこそ大人な雰囲気の店が似合いそうなのに何故かおうち(しかも実家……)。双i璧の二人はおしゃれなお店リベンジをしたい!