白い翼がほしかった

samejimawan
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14歳、地元のスーパーで買った大きいカーディガンを着ていた。クリーニング屋にかかった中学校のジャージ、制服を第一ボタンまで閉めるみんな、ポケットに入れたiPhone8、毎日3桁まで溜まるLINEの通知。そんな些細なすべてが愛おしくて、すべてに傷つけられた。

制服の上にセーターを着るようになった季節に、再試をさぼって川に行った。川は案外近い。電車に乗って、同じ車両に自分たち以外のひとがいなくなってからすぐに到着する。駅で買った抹茶ラテは飲みきれなかった。ホームには青いベンチがあって、ふたりでパブリックベンチ愛好会という概念を共有した。

うたをうたった。河川敷の砂利の感触をいつまでも覚えていたいと思った。「辛い理由が欲しいな」とわらった。秋のはじめの風は寒いけどあったかかった。