2022年11月4日、オンラインミーティングを終えた私はパニックを起こし、当時住んでいたマンションの7階のベランダから飛び降りようとした。
ベランダの柵に跨ってずっと地面と、人通りを眺めていた。誰かを巻き込むことはしたくなかった。その日は風が強くて、寒がりな私は寒さとほんの少しの恐怖でぶるぶる震えながら、じっと下を眺めていた。
仕事がうまくいかなかった。何もかもわからなかった。どうしたらいいかわからなかった。相談できる人がいなかった。毎日孤独と絶望で苦しかった。
15分ぐらいで寒さと虚しさで諦めてしまった。また午後から仕事だ。部屋に戻ってしばらくぼんやりしていた。
遠くからパトカーの音がして、近くで止んだ。もう一度外に出て下を覗くと、マンションの向かい側の道路から警察官がこちらを見ていた。優しい誰かが通報してくれたんだろう。白いマンションの外壁に赤いカーディガンはよく目立っていただろうから。
部屋に戻り、大人しく玄関の鍵を開けて、迎えを待った。すんなりと警察官を受け入れた私に少し驚いたようだった。数人入ってきた。ベランダの開け方に苦戦していたのが少し面白かった。聞きたいことがあるからついてきて、と言う警察官に、仕事があるんです、と呟いた。無駄だとはわかっていた。上司に連絡して(起こっていることはもちろん伏せて)早退にさせてもらい、パトカーに乗り込んだ。
X(元Twitter)で近所にあった公園名とパトカーで検索すると、画像つきのポストが出てくる。もし私が完遂していたらどうなっていたんだろうと今でも考える。