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08月06日(木)微糖ボタンを押す

犬の立ち耳
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公開:2026/8/6

帰省する。

東京駅の東海道新幹線ホームで珍しくカップのコーヒーを買った。カフェインレスのものが買えるようになっていたからだ。

胃弱なのと不妊治療中なのとで、カフェインレスしか選択肢がないのだ。しかし、コーヒーは基本的にブラックを飲む。コーヒーはあの香りと苦味と酸味がいい。甘さは必要ない。それが、大学時代にコーヒーを飲むようになって以来のポリシーである。

それなのに何故か微糖を選んだ。ブラックの注文ボタンを押す瞬間、躊躇ってしまったのだ。理由はわからない。人も多くて、暑いホーム。しかも念のためのマスクをしていた。暑さに、アイスコーヒーの微糖が沁みた。

4回目の胚移植も妊娠できなかった。2回目の時の流産よりはいい。でも、まただめなのか。落胆してばかりいても仕方のないことなので、結果がわかった日もいつものように働いた。もっと栄養をしっかり取らなきゃなぁ。

その日は夫のほうが帰りが早く、夕食の準備も彼がしていた。買ってあったミールキット。いつもの夕食である。

「ケーキあるよ」

夕食後に夫が出してくれたのは、フルーツタルトだった。出た、ケーキだ。

「今日はこういうのがいいかなと思って」

甘いけれど、フルーツ多め。生クリームたっぷりじゃないやつ。口数の多い人ではないから大変わかりにくいが、彼なりの労いと慰めなのだろう。私の好みもだんだんわかってきているらしいのは、ありがたい。

甘いもの。嫌いではないが、積極的に取りに行くものでもない。疲れすぎて糖分を求めてしまう日もあるが、チョコレートもできればビターが嬉しいし、生クリームは控えめが嬉しい。

一方、夫は甘い物好きらしい。喫茶店で飲み物やスイーツを頼めば私の前に置かれるが、それはたいがい夫の頼んだものである。食後のデザートも私はフルーツやゼリー、プリンを好むが、夫はシュークリームやケーキを買いがちだ。別にいいんだけど、甘いものは嫌いではないから。

微糖のコーヒーは涼しい新幹線の車内でも優しい味わいだった。仕事から休暇へ、胚移植から、また次の胚移植へ。流れてゆく今日は、微糖くらいがちょうどいい。

@dogear
犬を溺愛。