こんにちは。たくさんの元野良猫と暮らしています。
タイトルの通り、野良猫の目についてちょっとしたこぼれ話をします。
外で暮らしている猫の目は寄り目、つり目が多いです。そしておうちに迎え入れ家猫になると、その目がどんどん離れていく、というかまろやかになってきます。
これは有名な話なんでしょうか。わたしは体感で気付いたとき、ハッとしました。もちろん個性としての顔もありますし、全員が全員そうというわけではありません。でも、猫ってそういう顔、という認識から、野良猫が『おうちの子の顔』になっていくのを見るうちに、なるほどなあ、と腑に落ちたという、個人的な感想です。
猫の世界。車や人間、カラスだったり、金網や危険ゴミ、とにもかくにも外には危険がいっぱいです。もちろん自由に駆け回れる草むらや、気持ちのいい日向、お気に入りの場所や時間もたくさんあると思います。だけど圧倒的に危険が多いです。街の子は特に。あとは、ごはん。地域で飼われているような子は例外ですが、ごはんにだって毎日ありつけるとは限りません。
実際に今年の初めに実家にきた子は、商店街の店先でゴミを漁っているところを、母が見つけました。夜更けにゴミ袋をやぶいて、その中から見つけたらしい生肉のようなものをくわえていたそうです。恨むみたいな目でこちらを見る姿が目に焼きついて離れないと当時相談されました。母は翌日ごはんをあげにいき、さらにその翌日にその子を保護しました。それからその子は実家で暮らしていて、今はまるまる太っています。(当時は痩せすぎでワクチンも打てないと言われたほどのガリガリ、そして貧血でした)
そんなわけで、その日暮らしの野良猫たちは厳しい環境を注意深く生きています。危険なものとそうでないものをじいっと見極めて、逃げて、休んで、時には縄張り争いの喧嘩をして。そんな暮らしをしているうちに、目は中心に寄り、つり上がり、力が入った顔つきになるのだと思います。
たぶんそういう子は人間を見てもサッと逃げるので、わたしたちが簡単に見つけられる範囲にいる、安心して地面をごろごろしている子とは違うんですよね。地域に守られている、ひと懐っこい野良猫の目は、たぶんそんなに寄り目じゃない。ほとんど見つけられない、見つけても、「あっ猫が走っていったな」くらいの子。ひっそりこっそりギラギラと生きている野良猫たちの目は、ぎゅっと真ん中に寄ったつり目をしています。我が家にやってくるのは、きているのは、そういう子たちです。
家の中での生活に慣れいき、危険を忘れてくつろいでくると、寄り目がどんどん丸く柔らかく離れていきます。どういう原理だろう。眉間の力が抜けていく、ということなのかな。とにかく猫の目がほどけていくんです。気付くのはだいぶんたってから。そういえば、と顔をよく見て、もう怯えて力の入った目をしていないな、と感じると、わたしはとてもうれしくなります。よかった。もう大丈夫、幸せなんだねえ、と安心します。少し自分本位、めちゃくちゃ人間本位な受け止めかたかもしれませんが。
街の人たちに可愛がられて、ご飯をもらって暮らしている幸せな子も最近よく目にします。寝床まで用意してもらっている子もいます。安心します。うれしいです。そういう子はまんまるの目をして、人間の前にも現れて、無防備な姿を見せてくれます。
外で自由に、と、おうちの中で安全に。どちらが幸せかはわからないです。猫の気持ちはわからない。だから難しいです。本当に難しいです。人間の物差しではかって考えられる幸せしか、どうしたってわからない。与えてあげられない。外での暮らし、家での暮らし、猫にとってどちらも幸せうれしい楽しい、な世の中ならいいなぁ。
とりわけうちにきた子たちには、「結果これでよかったよね」と思っていてほしいなぁ〜〜〜と、勝手ながら願っています。
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ちなみにこの子はずっと警戒を続けているので、いまだに寄り気味、つり気味です。だけどその、種みたいなつり目が愛おしいです。一緒に暮らして5年経ち、最近やっと、たまーーに撫でてと甘えにくるようになりました。
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この子がわかりやすいかな、でも旧画像があまりに不鮮明で汚れているので、反則ですね。先日陶器のお人形として福島旅行にも連れて行った、わたしのかわいいちゃん。天使です。
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それでは、あと半日なんとなーく乗り切りましょう、な月曜日のお昼から、小話のお届けでした。