暇空茜がシュナムル氏を認知プロファイリングしている時期から細々みている。
念のため書いておくと、不確実な情報を元に集団いじめのような構図と結果的になっていること自体は支持しない。たとえば個人の身体的特徴や能力を揶揄するような発言を繰り返していることは素直にひどいなと思う。
とはいえ見たくなるような情報を提供し続けたり、そうした相手を探してくる能力は目を見張るものがある。
インターネット対リアルの再来
今でこそ誰でもインターネットに触れるようになったが、私が学生の頃はインターネット=オタク=非リアという価値観だった。リアルでやることないからパソコン触ってるんだよね?と捉えられ、パソコンに精通していることが非リアの象徴だった。
ネット世界ではリアルを馬鹿にし、リアルはネット世界を馬鹿にする、インターネットvsリアルの構図ができていた。
その象徴とも言えるのが、2ch、特にニュー速VIPの存在だった。いわばネットの力でリアルに影響を及ぼす集団と言える存在だ。
人気投票で不人気のポケモンを1位にしたり、テレビ番組の掃除の企画の前に掃除して企画を壊したり、ネットの個人が集まり、リアルを壊すような企画がエンターテイメントとして繰り返されていた。
それは硬直したリアルの権力構造を壊すある種の希望でもあった。
しかし2010年ごろからインターネットが民主化し、誰もが触れるようになった。企業や政治家など、リアルの権力者たちもネット世論の操作に力を入れるようになり、今ではインターネットとリアルが溶け合った権力構造で安定してしまった。もちろん変化は大きくネット社会に適合できず、炎上などで急速に力を失うものもいる。とはいえネットが何かを変えるかもしれないという感覚は失われた。明らかに金の力で動員したような、異常な集団世論に溢れている。
そんな中、今の暇空茜がおりなす世界は当時のインターネットを想起させる。インターネットの集団の力で何かが変わるかもしれないと感じさせられる力があり、それに人々が集まっているのだろう。
特にひろゆきやヨッピー氏のようなインターネットを代表するような人物が槍玉に挙げられているのは時代の変化を感じさせられる。ヨッピー氏の年末年始の争いは貰い事故感がすごかったが、とはいえ過去インターネットで反リアル側に立っていた存在も、今ではリアルの強いしがらみに囚われているのは事実だろう。私含めて。
再現性のないムーブメント
インターネットの初期は、匿名の個人が集まることでムーブメントは起きていた。しかし今は旗を掲げる個人が必要だ。権力側もインターネットの取り扱い方を知ってしまったからだ。
その上でその個人はしがらみのない存在である必要がある。ひろゆきやホリエモンなど、そのポジショニングで好き放題に発言しているように見える層は存在する。しかしそう捉えられている彼らも平均的な一般人より多くの関係者がいて、当然縛りも多いことだろう。
ではどのような人がムーブメントを起こせるだろうか?仕事をしている限り関係者は生まれるので、できれば仕事をしなくて暇をしている、金のある資産家が良い。さらに敵を作ることに躊躇がなく、強い信念が必要だ。そもそも大多数の人は敵を作って開示請求だのなんだのをしたいと思わない。加えて一定の頭の良さも必要だし、人を集める集客力も必要だ。
そう考えると今回のムーブメントは奇跡的な偶然の上に成り立っているように感じる。
嘘を暴く
おそらく暇空氏のモチベーションは嘘や隠し事に対する追求だと思われる。
だからこそ暇空氏が相手にする対象は嘘や隠し事をしていると思われる人物に限定される。それがエンターテイメントとして面白いし、真実という正義の旗印を掲げられるので、人が集まるのだろう。
加えて命名の秀逸さも特徴として感じる。
セブンナイツ、ナニカグループなど、暇アノンのような短絡的な悪口でなく間接的にクスッとくる表現を生み出す力は素直にすごいと思う。
カウンター
そうして好き放題やってきている暇空氏だが、客観的にみて最近は雲行きも怪しくなってきたと感じる。
記憶によると「裁判は裁判官の分からせゲー」のようなことを言っていたが、本当にわからせる気があるのか?と思う立ち回りも多い。
WBPC問題のときは不正を暴こうとした一般人が既得権益に袋叩きにされたという構図が上手く描けていたと思うが、今は客観的な見え方として異常な個人攻撃をしている集団としか見えない。結果的にWPBCに対する追求も、弱いものいじめに見える状況になってしまっている。ヨッピーさんの「Colaboのときは暇空氏にカンパしたが、今はColaboにカンパした」はまさにその見え方の筆頭だろう。
返信数を見てもWBPC問題より特定個人をバカにしたツイートの方が反応が良く、フォロワーの質自体がそちらに寄っているのだろう。つまりインプレッション稼ぎをする限り、どんどん個人攻撃へと寄っていってしまう泥沼だ。
また特定の単語を言わなければ問題ないという雰囲気で話を進めているが、本当に裁判官のわからせゲーであればそんな機械的な発想でいけるのか?と思う。内心の部分ダダ漏れに見えるが大丈夫か?と感じざるを得ない部分も多々ある。
陰謀論的世界観
また暇空氏の特徴として確度の低い考察を真実かのように話すことにある。
感覚として「そうとも言えるかもなぁ」程度のものでも「あなた本当はこうですよね!」と突っかかっていく。
ある意味その程度で突っ込めるからこそ反権力として多くの人が期待している一面もあると思う。100%目に見えてわかる不正などそうそうないのだから。
一方でどうしてもその情報に触れると陰謀論的な発想の人が生まれやすくなる側面もあると思う。
たとえばナニカグループなどは、人と人との関係性を考えれば当然の存在だ。人は仲間に対して利益誘導するし、歪んだ擁護もする。そしてある程度属性の近い人同士が仲間になりやすい。
なので当然左派の人間関係の集まりとしてアメーバのような連帯集団があるのは当然そうだろうと思う。が、「ヨッピーやひろゆきはナニカグループ!」みたいに言い出す人が出てきてしまっているのを見ると、やはり陰謀論的な空気感が醸成されていると感じる。結果的に外から見ると「あの人たちおかしなこと言ってるよね」ってなってしまう。
もちろん暇空氏と暇空氏をフォローしてる人は別で、暇空氏は強引に切り離そうとしているものの、第三者的に見てそう見えてしまうのは避けられないだろう。
敵を作る生き方
今回「アニメイトに、暇空茜の本を販売するなら京アニ事件を起こしてやるとの脅迫が届いた」と主張している。その真偽はともかくとして、人生かけてでも暇空氏を潰したいと思ってそうな人は何人も頭に浮かぶ。それくらい敵を作る生き方をしている。
もちろんそうした普通はできない生き方をしているからこそ権力に立ち向かうムーブメントを起こし、多くのフォロワーが集まったとも言える。
一方で今の状況を見るにこうした生き方は刹那的であり、持続的な変化にはつなぐかというと危なっかしさを感じざるを得ない。