プライドフラッグワードパレットというご提案

Dr.ギャップ
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公開:2026/6/26
アロマンティックのプライドフラッグの画像。長方形が横に五等分されており、上から濃緑色・薄緑色・白色・灰色・黒色に分かれている。各色の上にはそれぞれの色のモチーフを含む短歌が一首ずつ掲載されている。

ワードパレットとは

創作のためのお題フォーマットの一つ。3つ程度の単語やフレーズが一組になったもので、創作の際はすべての単語やフレーズを使って一つの作品を作る。カラーパレットのワード版。

プライドフラッグとは

セクシュアルマイノリティの象徴として考案され、使用されているフラッグ類。

セクシュアルマイノリティ全体の象徴として使われるレインボーフラッグやプログレス・プライド・フラッグのほか、トランスジェンダーやレズビアンなど、セクシュアルマイノリティのなかでもそれぞれの在り方のシンボルとして考案・使用されているフラッグがある。デザインが変化したり、複数のデザインが併用されることもある。

「プライドフラッグワードパレット」は、プライドフラッグの配色をもとにワードパレットを作り、それを使って創作をしませんか、というご提案です。創作ジャンルとしては短歌・小説・俳句・川柳・詩などテキストベースで構成されているものを想像していますが、ワードパレットが活用できれば他の創作ジャンルでも広がっていったらいいなと思います。

もしかしたら自分の周りでは見かけないというだけで、世間的にはお馴染みの方法かもしれないのですが、でも自分の周りで見かけないのなら自分から周りの人に呼びかけてもよかろうと思い、また再発見だとしても自分がこの方法に出会えたことが嬉しかったので、いまこの文章を書いています。記事の冒頭に置いている画像は自分の作例です。

さて、まずはプライドフラッグの配色を使って創作をしようと思ったきっかけの話をします。

『いるよの話』という本を2025年に制作した際、装丁デザインにクワロマンティック・アロマンティック・アセクシュアルのプライドフラッグの色を使ってもらいました。

『いるよの話』の写真。アセクシュアル・クワロマンティック・アロマンティックのフラッグカラーがたなびくように表紙を覆っている。

三つのフラッグの配色で本全体をぐるりと囲んだデザインは本当に素敵でお気に入りで、このデザインを作っていただいたときに「プライドフラッグって綺麗だな」と新鮮な気持ちで感じました。それまでもプライドフラッグの存在そのものは知っていましたが、そのとき初めて知ったフラッグ(配色)もあり、この綺麗な色たちで他にも何かできないかなと思いました。

そうしてまず思いついたのが、フラッグをカラーパレットにして絵を描くことでした。でも、自分は絵を描けないなとすぐにその思いつきを打ち消しました。こうした作品を見たいという気持ちは強くありますが、自分がやって「みなさんもぜひ!」とするのは難しいなと。

そして、次に思い出したのがワードパレットでした。たとえばアロマンティックのフラッグなら「濃緑色・薄緑色・白色・灰色・黒色」で構成されているので、それぞれの色から連想するモチーフを持ち寄って「グリーンティー(濃緑色)・わさび(薄緑色)・白米(白色)・ごま豆腐(灰色)・味海苔(黒色)」のようにワードパレットにして、そこから何かを作るのはどうだろう、と。

でも、単にワードパレットにするだけだと、せっかくの色が見えなくなってしまってもったいない。フラッグの色を素敵に思ったのが始まりだったから、見た目でもどの色が、どのフラッグがモチーフになっているかわかるようにしたい。そこで、各色から連想されるモチーフを詠みこんだ短歌を作りつつ、実際のフラッグカラーを背景にして画像を作る、というスタイルにしてみました。

トランスジェンダーのプライドフラッグの画像。長方形が横に五等分されており、上から水色・ピンク・白色・ピンク・水色に分かれている。各色の上には、それぞれの色のモチーフを含む短歌が一首ずつ掲載されている。

※XとBlueskyで「#文字のプライドフラッグ」「#短詩のプライドフラッグ」というタグを付けて投稿しています。いろんな人に使ってもらえたら嬉しいなと思って作ったタグです。ぜひぜひ作品を作ったらタグを使ってみてください。

これらの短歌を作るとき、フラッグの色と繋がっていれば、それぞれの短歌はそのフラッグが象徴する性的指向や恋愛指向やジェンダーの在り方を表したり、そこに特別寄り添ったりするものでなくてもいい、とあえて決めました(自分はそうしたというだけなので、プライドフラッグワードパレットで創作する方全員にこれを押しつける気はないです)(そしてもちろん差別や偏見や誤解の流布・助長は絶対にNGです)。なぜかと言えば、存在や連帯を示す方法として気軽にフラッグカラーを使えたらいいのにと思ったからです。

セクシュアルマイノリティに限らず、マイノリティをめぐる自分の考えや思いを言葉にしようとするとき、差別や偏見に抗おうとするとき、自分は、そしておそらく多くの人もきっと、どうしたって慎重になります。そうする必要があると感じるからこそそうなるものだと思いますし、必要な態度でもあると思います。でも、そうして考えて考えて考え抜いて時間をかけないと何も言えないというのは、それだけしか・・手段がないとしたら、それはちょっと不便だなと思ったのです。特に、差別や偏見について、どうしてその言葉や振る舞いが差別になるのかなどを確かめ、正確に過不足なく示すというのは、かなりの時間や体力や根気の必要な作業になります。

そうした慎重さや丁寧さは、特に「分かってほしい・知ってほしい」という場合には省略できない部分でもあります。でも、もっと、「ここにいるよ」や「共にありたいです」や「排除するな」をぱっとそれだけで示すことができたら、もっと身動きがとりやすくなるんじゃないか、それならできそうだ、やってみようというひとも増えるんじゃないか、もしそうなったら嬉しいなと思ったのです。プライドフラッグのアクセサリーや小物を身につけるように、プライドフラッグをモチーフにした創作をタイムラインに流せたら嬉しいなと思っています。

アセクシュアルのプライドフラッグの画像。長方形が横に四等分されており、上から黒色・灰色・白色・紫色に分かれている。各色の上には、それぞれの色のモチーフを含む短歌が一首ずつ掲載されている。

自分は短歌が好きで一番手に取りやすい形なので、今のところ短歌を作っていますが、俳句でも川柳でも小説でも詩でも、この文章を読んでくださっている方にとって手に取りやすい形でフラッグを手に取ってくださったら、手に取りやすい形を探してみようと感じていただけたら、とてもとても嬉しいです。自分がイラストは描けなくても短歌ならと思ったように、それぞれにとって手に合う形をぜひ探してもらえたらと思います。ちなみに自分は季語(俳句)でもやりたいぞ!と思っています。

創作はしてないんだよなあという方は、ワードパレットそのものを作るというのはいかがでしょうか。たとえばクワロマンティックのフラッグは【黒色・緑色・水色・灰色】という配色ですが、ここから【影・芝生・湖・曇り】のような単語やフレーズの組み合わせを作ってくださったら自分は嬉しいです(ワードパレットを作るところが案外難しかったので……このときもタグを使ってもらえたら嬉しいです)。

プライドフラッグはなんらかの権威や仕組みによって決定されているのではなく、多くは当事者たちが「これを自分たちのシンボルにしよう」と使っていくうちに定着したものと聞きます。これまでに込められてきた思いや願いや意味を尊重する態度を持ってフラッグに触れるのはもちろんですが、当事者だったりそうでなかったり(でもその周りにいたいと思う一人であったり)として、自分の手に馴染む形で自分もその旗の色を手に取らせてもらえたら、そうさせてもらえるのは嬉しいなと思うのでした。

@dr_gaap
短歌と読書と二次創作と旅行と美味しいものが好き。今はまっているのはツイステとオモコロと匿名ラジオです。短歌で楽しいことをするのが大好き。クワロマンティックでアロマンティックでアセクシュアルです。 感想などいただけたら嬉しいです。→wavebox.me/wave/94ufrrxytf5hliop