幼稚園からずっとお隣だった幼なじみの家は歯科矯正を専門にしている歯医医院だった。僕は小さい頃からかなり歯並びが悪かったので、事あるごとに歯科矯正を勧められたのだが、何せ貧乏だったのでとてもじゃないが出来なかった。
社会人になってから多少の余裕が出てきたので、意を決して歯科矯正をやろうと、すでに歯医者を継いだ幼なじみのところに通い出した。その時に親知らずを含めて7本の歯を抜く必要があるということで、まずは親知らずを4本抜くことにした。ところがだ、どの親知らずも未だ見えてないし、真っ直ぐ生えてすらいないため抜くのではなく、細かく砕いて取り除くような形になった。特に1本目が酷くて、その抜歯をした当日は、今の妻との付き合う前の3回目のデートで誕生日を祝うためにレストランを予約したのに、腫れ過ぎててまともに食事ができなったことをよく覚えている。
その後の残り3本もかなり苦しんだ。しかし親知らずは抜いたほうがいいというのを信じて何とか抜ききった。プラスして下の前歯がT字のように生えていて既に虫歯とかでえぐれていたので、こいつも抜いた。これで5本。ここまでで半年以上経過していた。そして、僕は力尽きてしまった。これは2012年ぐらいの話である。
その後、もう歯科矯正をすることはないと思っていたが、それから10年ちょっとしたタイミングで歯のクリーニングをしに行った別の歯医医院で、歯並びの悪さについての相談をしたら、今からでも遅くないよと言われ、あっそういうもんなのかという感じで、二つ返事じゃないけど歯科矯正をすることにした。当時やろうとしていた歯科矯正とは全く別のやり方、マウスピースを利用した方法である。やろうと思ったにも関わらず、実はそんな期待していなかった。ただ、当時諦めてしまったことを今からでもやり直せるならと、半ば後悔に対しての気持ちの方が強かったかもしれない。
今は6クール目に突入するところである。当初は5クールの予定だったが、もう少し前歯を目立たせなくしたかったので、もう1クール追加してもらった。普段自宅で仕事をしていることもあって、マウスピースによる歯科矯正でもあまり不便に感じることはなかった。この歳になっても歯は面白いぐらいよく動く。出っ歯がとにかく嫌で歯科矯正をやりたいと思っていたのだが、キレイに整列していく歯が今は気持ちよい。まぁ、下の前歯を1本抜いてしまっているし、そもそも歯の本数が合わないから無理なことをしてるわけでもあるので、完璧な歯並びとはほど遠いのだが、それでも以前に比べれば遥かに良くなった。先日、奥歯にセラミックをはめ込んで歯の高さを上げた。新しいマウスピースがきたら今度は上下に歯を引っ張るらしい。歯は単純に動くだけではなく、ゆっくりと引っ張ることで、伸びてくるらしい。面白い。
費用的には100万円届かず、97万円ぐらいだった。この後にさらに追加しなければ、これでFIXだ。
どんなことでも、年齢的に遅いと諦める必要はないようだ。