to : Matt Kwasniewski-Kelvin (ex. Black Midi)

平野望 / dysfreesia
·
公開:2026/1/14

僕にとってのBlack Midiとは1stアルバムに集約される、となると、つまり彼にとってのBlack Midiとバッチリ重なるということにもなる。とても熱心なファンだった訳ではないかもしれないけど、サウスロンドン周辺のバンドがジャズやノイズを巻き込みながらクールに台頭していく感じはとてもカッコ良かった。SquidとKing Krule(は少し早い登場ではあったけれど)と並んで、Black Midiが自分にとって大きな存在であったのは間違いない。

メンバーそれぞれがキャラの立っているバンドではあるが、スタンスやアプローチは4者みな違う。比較的クールに狂っている印象を受ける他の人たちに比べると、スマホをギターに当ててサウンドを増幅させたり、ピックアップに向かって叫んでみせたり、ステージ上でギターを放っぽって宙返りしてみせたりする彼は、変わってるというよりもストレートに音楽に身を委ねている人なのだなと感じてきた。身の委ね方に精神が出ている、彼の脆さと繊細さが出ている、つまりとても音楽のことを信じていて、とても音楽に依存している人なのだ、と。

だから彼がメンタルヘルスの問題でバンドを離脱するというニュースを聞いた時、悲しいけれども意外ではなかった。と同時に、どれだけ彼が悔しい思いをしているか、あるいは複雑な気持ちを抱いているかについても過度に憶測してしまったように思う。当たっているかは分からないが、少なくとも辞めて気が晴れたとは思っていないだろうことは容易に想像できた。そしてこの終わり方である。ここまで寒々しい気持ちに襲われることはなかなかない。

直接的に書いてはいないにせよ、プレスに「メンタルヘルスと戦ってきた」とある以上、その死の形はある程度想像がつく。率直に言ってとても悲しいし、同じくらいに虚しさもある。いちいち年齢のことを言いたくはないのだけれど、それでもこの夭折の在り方は非常に重い。

身体の不調に比べてメンタルの不調は周囲に理解されづらい。内面の不調を、その外側にある人たちや環境に知らせることはかなり難しいと思う。本人だって「大丈夫」と言うのだから。でも実際はそうではないかもしれない…と思い計ることはつまり想像力と経験による所作だ。メンタルヘルスに対して理解のない世界だとは思わないが、もっと理解の深い社会になると良いなと個人的には思っている。それは即ち誰しもにとって生きやすい世界の創造である。これは世界で実現する可能性がきちんとある、美しく素晴らしいことのひとつではないか?

@dysfreesia
dysfreesia + mihau / Babera