普段は離れて暮らしている11歳の女の子と父親が夏休みにリゾート地にやってくる。20年後に娘がその旅行を回想する映画。
めちゃよかったけど、心を刺してくるつらい映画だった。
どんどん話が進んでいくにつれて、親父のおかしなところが目立ってくる。わかりやすい説明的なカットがあるわけではないんだけど、娘との自然な会話や表情、行動から、親父が抱えている問題や辛さが伝わる。
親父は嫁と離婚、金なし、仕事なしの結構きつい状況にあるんだけど、11歳の娘からしたらあんまり関係なくて、優しくてかっこいいお父さん。ただ旅を通していく中で、なんとなくお父さんは貧乏であることに気づいて、気遣うようになってくる。そんな娘の姿を感じて親父はさらに追い込まれる。
印象的なシーンがある。親父は旅行中に誕生日を迎えて、娘はお父さんを喜ばせようと周りの人に声をかけてバースデーソングをみんなで歌う。そのときの親父の嬉しいような悲しいような表情。瞬間、親父が一人むせび泣く後ろ姿のカットが流れる。親父の社会的に自分が終わっているのに、娘はこんなにも自分に愛を与えてくれるそのギャップに打ちのめされいるのがよくわかるシーンだった。