Audible記録・2【グラスホッパー/マリアビートル(途中)】

e82sv
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グラスホッパー/伊坂 幸太郎

ストーリーのためにキャラが動いてる感じのする話だったなあ……。キャラの言動の理由は説明されてるけどそれに納得はできない、のような。そのせいかどのキャラクターも何かあんまり好きになれないな……という気持ちのまま終わってしまった。

鈴木…無能な働き者で辛かった。読者が一番感情移入しやすいであろう一般人の立ち位置だけど、既に薬物売り捌いていることを考えると物語中の苦悩や迷いも他人の人生壊しといて今更?って感じで独善的で何もかも共感できなかった。あとバイキングのエピソードがあまりに品がなく個人的に無理、卑しい……。PKの件も何言ってんだこいつ……と思ったし何かにつけて妻のために自分はよくやってるアピールをする割に指輪を無くしたりして口だけか……と思ったり。ざっと考察を見た感じ物語開始時の信号~ラストの電車まで幻覚説が主流の解釈みたいだけど、だとするとなおさら何やってんだこいつという気持ちが強くなる。薬物分の報いは受けてほしい。

鯨…抱えている罪悪感や鬱屈とした気持ちは共感できるけど、それが発露するのが「清算」、そしてこの清算っていうのがそれまで交流があったわけでもない他人の言葉によって唐突に生えてきた(と私は感じた)目的なので何か急に清算にこだわり出した変な人という印象になってしまった。言動の理由は作中で説明されているので理解はできるけど納得が全然出来なかった箇所の一つ。行動の根本的な動機が納得出来ないので繊細な心理描写もよく分からず全体的に違和感がすごかったキャラだった。

槿…家族周りはいくら20年前の作品とは言え無防備すぎ不自然すぎだろと思ってたので、作中の見せ場であるどんでん返しが来てもやっぱり何か訳ありでしたねむしろ訳ありでよかった、という安堵が強かった。あんな両親じゃ子供がかわいそうだ……。(ちなみに作中の展開でいちばん意外性があったのはミツバチ)

蝉…女子供構わず一家全員、とやってることは残忍だけど一番吹っ切れてて分かりやすく、ほかのキャラはあまりによく分からなかったので相対的に好印象だった。

気になるところは多かったけど会話の掛け合いやキャラクターの造形は(鈴木を除いて)好きな感じだったのでマリアビートルも聴き始めたけど、作中で色々理屈を説かれてる事柄に対して納得ができない、そのせいでどのキャラクターもうっすら好きになれないのがグラスホッパーで味わったやつだなという感じで根本的に作者と合わないのかもしれない。特に王子と木村と七尾が辛い、さらに鈴木がのうのうと出てきてさらに辛かった。王子と木村の掛け合いは洩れなくストレスで、木村は浅慮と虚勢が情けないうえに親としても全然ダメ、父であるお前が今するべきことは感情に任せた独りよがりな復讐ではなくて息子に寄り添うことじゃないのか?そもそもこうなった原因はお前が助ける気もなかった中学生に不用意にちょっかいかけたからじゃないのか?という感じで全く好意を持てず、王子は存在そのものが不快でAudibleを起動するのすら気が進まなくなってしまった。せめて物語の中で王子が惨めたらしい最期を迎えることが確約されていれば…という気持ちでネタバレを見てしまったけどそういう展開にはならないらしいので続きを聴くかは分からない。

@e82sv
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