ドラマ「季節のない街」が、2024年6月7日の放送(地上波)で最終回を迎えた。毎週笑って泣いて夢中になって見ていたドラマだった。
(この先は最終回のネタバレ感想となっています)
さて、最終回。
「ナニ」から13年目の年。仮設住宅の住民達は、たんばさんの退去をきっかけに、全員が出て行かざるを得なくなってしまった。最終回はその前日譚なのだが、ミッキーさんが沢上家の子供達の父親が、全員仮設の住人達であることを子供達の前で喋ったり、その子供達が「ここから出たくない」と、かつ子を人質にして校舎に立て籠ったり、益夫が島さんの家に火をつけたり、六ちゃんが本物の重機を動かして街を破壊(意図的ではない)したり、半助が大暴れしたり……
といった感じのドタバタコメディ(シリアスパートもあったが、基本コメディだった)で、笑わせて終わると思っていた。
しかし「ソレ」はラストシーンで起こった。
仮設を出た住民達は、すっかり洗練され、街中ですれ違ってもお互いスルーするのが暗黙の了解らしい。しかし大漁旗を切り分けて作った小物を身に付けていて、自分達がソコの住人だったことを忘れようとはしていなかった。
(余談だが、かつ子がショップ店員になっていたのには驚いた。大漁旗をバンダナにして頭に巻き、見た目はエルピスのチェリーさんだった!)
半助は「季節のない街」というタイトルの小説を編集者に見せていたところを、通りかかったタツヤに見つかった。この時タツヤが着ていたのは、母親に見せられなかったあの背広。そこに気付いた時、自分でもびっくりするぐらい、急にぶわーっと涙が溢れ出た。さっきまで笑って見ていたのに。あの時「着れないわ〜」と言っていた背広を着ていたタツヤに「良かったなぁ!」と嬉しくなった。
「あまちゃん」が好きなので、「季節のない街」のクドカンさん脚本(ストーリーのベースが震災であるにもかかわらず、湿っぽくしない、むしろ面白くするところ)や大友良英さんの音楽、キャストの皆さんも良くて楽しめた。
楽しめたとは言っても、タツヤと母親のエピソードや、かつ子と叔父のエピソードはキツかった。ホームレス親子のエピソードは、黒澤明監督「どですかでん」を見ていて知っていたから、前述の2件に比べたらショックは少なかったものの、車内でぐったりしている子供を助けようと、必死になる住民達の様子や、「お前が通報したんだろ!」とタツヤが半助に声を荒げたのには、気持ちがゾワゾワしたなぁ………
それにしても「虎に翼」の優三さん然り、今春枠のドラマにおける仲野太賀さんには本当めちゃくちゃ泣かされた。