「あなた、私のことをいつから好きになったの?」
「私のどこが好きなの?」
「ん。いつからだっけ……」
立て続けに彼女からこのような“問い”が投げかけられた。これはお付き合いを続けていく上での共通一次試験と言えよう。
「目が好き」
「話してて楽しいし、一緒に居て落ち着く」
「ずっとそばにいてほしいと思ってる」
僕はこのような回答を彼女に伝えた。
彼女は満足げな表情をしつつも、どこかまだ腑に落ちていない様子。
「何が納得いってないの」
「そういうんじゃない」
結局、僕は「いつから好きになったの」に対し、明確な答えをその場で伝えられず、後日LINEでやや長文のメッセージを送った。
その際、「中目黒で初めて2人きりであったときに君のことをもっと知りたくなった」「早く年末になってまた会いたいって気持ちになった」など歯の浮くようなセリフをスマホの画面に並べた。
これらの文句をなぜ直接言葉にしてすぐ言えなかったんだろう。
けれど、僕のLINEを読んだ彼女は“いつから好きになったのか”について納得してもらえたようだった。
恋愛パーソンは、いつ、どこで、どのタイミングで好きになったのか、事細かに記録し、文章化することをおすすめする。
今、この記事を編集仕事の合間に書いている。カリブ海ブレンドのコーヒーは既に飲み終えており、中南米由来のコクの効いた香りだけが部屋に漂っていた。