「メイクは武装」だと言われることがある。
でも僕は全然分からなかった。というのも、かれこれ数十年ノンバイナリーとして生きてきて、やどんなコミュニティにも属しておらず、メイクからも無縁だったからだ。
それが最近AFAB(生まれてきて女性と割り当てられた人)のコミュニティに通うようになって、メイクをし、脱毛をし、"女性らしく"振る舞うようになった(好きだからそうしているわけでなく、AFABコミュニティで迫害されないためのコードを守るためにしている)。
そんな中で気付いた。
メイクをすることが武装と言われる背景に、メイクをしないことが劣っているという概念がある。そしてもう一つ、ルッキズムがある。
つまりはこういう仕組みが働いている。
その劣位のグループに所属しないために、まず基本的なメイクをする。
その次に、なるべく序列の高いグループへ行く/あるいは行かずともそのグループのメンバーに不当な扱いを受けないために、なるべくルッキズム的に美しいとされるメイクをする。
この仕組みがあるために、「メイクは武装」だと言われていると考えた。
さらに言えば、その背景には「男性に認められてこそ立派な女性である」といったミソジニックな考えがそびえ立っているように思う。その観念が一番根にあるために、画一的な美しさを求めたり、その基準に沿って同性(その他)を判断し、仕分けたりするわけだ。そしてその基準からはみ出ているものは、違反者としてペナルティを受ける。
だからこその武装である。