アマプラにあったので観る。ほんとうはアニメ全話ーといきたいけれどとても長いのでとりま劇場版から。皆殺しのトミノの異名のもとだけあってよく人が死ぬ。老若男女問わず。ただ、単純に死んだという訳ではないのかもしれない。
伝説巨人イデオンは、地球の植民星で見つかった古代文明の船と巨大ロボットが、それを狙う別の惑星の人々から追われ続ける話だ。別の惑星(バッフクラン)の人々は、そのロボットにイデと呼ばれる無限の力が宿っていると知ってそれを探しに来る。地球側は、それが何のためのものなのか分からずうっかり発掘してしまい、戦火に巻き込まれることになる。
バッフクランは定期的に自惑星に照射される謎の流星を止めるためにもイデオンが欲しい。地球側はなんで襲われるのか分からず、話し合いの機会も待てずに応戦をすることになる。イデオンと宇宙船にのってる人々は、地球圏を危険に晒す恐れから、他の植民星を点々としながら、戦い続けていく。
そんななかでも、バックフランのお姫様が船に乗ってきていついたり、恋をしたり、子供を作ったりもする。そう、バックフランと地球人は子どもが作れるくらいには近しい遺伝子を持ってる。
スーパーロボット大戦でフィールドの半分以上を焼き尽くせるマップ兵器をもってただけあって、イデオンは一騎で宇宙艦隊相手にしても引けを取らないくらい強い。けど、それも物量にどんどん負けていく。後半はバリアも貼れず、船に敵の侵入を許して白兵戦が中心になる。なかば難民船と化していたので、非戦闘員のはずのひとも、情け容赦なく死ぬ。
で、この船もイデオンも、どうして動いてるのかさっぱりわからない。どうもイデという力があって、それが意思を持っているように振る舞っているのは分かる。けれど、何をさせようとしてるのか分からない。
赤ちゃんの防衛本能に反応して船を守ったりしたと思えば、敵艦に乗組員をワープさせてそれを生中継したり、何を考えているのか分からない。そんなよくわからないイデに敵も味方も振り回される。
どうも、人間のような知性のある生き物を善きものにしたい、と考えてる節がある。けど、それが上手くいかなかったらどうするか。純粋な子どもだけ残して、あとは鏖殺してしまう。
これが分かった瞬間の「わたしたちは何のために生きているのよ!」は胸に来る。タイタンの妖女みたいに、お手紙のためだけに文明を発展させられたんじゃないだけまだ良いじゃないって思わなくもないけれど。
本作を観るまでは、イデの発動はただ全部消えてしまうもんだと思っていたけれど、そうでもないのかもしれない。イデオンはバッフクランの総指揮をしていた親玉と刺し違え、艦隊はソーラレイというかスターデストロイヤーというかの砲撃で全滅。双方の地球は彗星で破壊されてしまう。
ただ、その魂は、イデに取り込まれて平穏を得ている。敵も味方も関係なく、生き死にの時間も関係なく、みんな穏やかに次の生に向けて進んでいき、お話は2001年宇宙の旅みてーなイメージ映像を流して終わる。
富野監督、この時点ですでに、人間の分かりあう不可能さ、に頭がいっていて、ガンダムで何度も擦られる人の可能性云々に嫌気がさしてたんじゃないかな?と思う。よくよく考えると、異文化(異性を含む)とのコミュニケーション不全の話ばかり見ている気がする。
あとは、ダンバインとキングゲイナーとZZガンダムを観れば、いろいろ言えそうな気もするけれど、先が長い…。