いやあ、今年も大変良くショウくんに狂った。
昨年に引き続き、今年も三冊の本を作ることが出来た。まずその事実が踊り回りたくなるほど嬉しい。
ちょうど一年前、漫画の原稿を終え新刊を出した直後からそれはもう見事に絵が描けなくなった。何を描いても納得がいかない。前編と後編に分けた話だったので続きを描かなければならないのにたったの一コマも仕上げることが出来ず、どうしたもんかと数日考え、無理なものは無理なのだろうと潔く原稿マンションのフォルダを削除した。きっとそのうち元に戻る。その時にまた新しく立て直せばいいと思っていた。
けれど原因不明の現象は一ヶ月経っても変わらずそこに在り続けた。描きたいのに描けない。今まで全て勢いと情熱で乗り越えてきたため経験したことがなかったが、これは正直かなりキツい。
なにかこの不調の原因に繋がるヒントを見つけられないかと思い昨年の出来事を書き出し振り返ってみることにした。
まず、半年の原稿期間を経て一月に新刊を発行。その後すぐ原稿に取り掛かり五月に新刊を発行。さらにその後再び原稿を始め十二月に新刊を発行。
ハイペースがすぎる…原因絶対これじゃん…!
個人的な意見だが同人誌を作ることはスポーツと似ているように思う。
難しいことを考えず気ままに絵を描いてネットに載せていた時は作業の過程ですらひたすらに楽しかった。けれど本にするとなるとそうも言っていられない。段々締切が試合当日に思えてくる。そうなると原稿期間は負けないために精一杯努力する練習期間と化す。
毎日が本番のようなものだから数年前と比べれば確かに画力は上がったような気がする。けれどそれ以上に削られるものがあまりにも多い。趣味なのだからもっと気楽に描けばいいと自分でも思う。でもそれが出来ない。どうしても全力を尽くしたくなってしまう。
全国大会は年に一度だからちょうどいい。それなのに四ヶ月に一度全国大会に挑む覚悟で戦い、消耗した。その結果がこれだ。
原因は分かった。しばらく休めば解決するだろう。でも推しの絵を描きたい。小説だって作りたい。人に見せる可能性があるから実力以上に頑張ろうとするのでは? であれば全国大会ではなく、自分一人だけが参加する記録会システムを導入するのは?
そこで辿り着いたのが「自分のためだけに本を作る」だった。リハビリも兼ねているため長編ではなく数ページの短編を四本入れて一冊にすることにした。文章も書きたかったので大きなテーマだけを決め、漫画と小説の両方を突っ込むことにした。自分の記録用だと思うと多少のごちゃつきも玩具箱のようで楽しい。本を作っていて楽しいと思ったのは久々だった。
一月に始めた挑戦は締め切りのおかげで形になり、半年で冬編と春編の二冊が完成した。イベントでもないのに自分で決めた締め切りを守れるのかと思ったがどちらも締め切りの五日前には原稿が完成し早めに入稿することが出来た。余裕があると脱稿ハイにも脱稿鬱にもならないらしい。ストレスのない脱稿がこの世の中には存在した。
本を作る楽しさを思い出したタイミングで数年前に推していたカプのオンリーに参加することを決意した。結局、なんだかんだ言って試合が好きなのだと思い知らされる。おかげで年の初めに立てていた計画はめちゃくちゃだ。けれど作る予定だった夏編と秋編を、更には未だマンションすら立ち上げていない後編を一旦置いて他の原稿を始めてみる柔軟さを私は成長と呼びたい。
先週、一年振りにイベントに合わせて作った本を抱えて会場へ向かった。原稿期間中、それはもう様々なことが起こりストレスで胃がおしまいになったりもしたけれど新刊はなんとか無事に完成した。文字サイズやとじしろ等色々と試す機会があったおかげで今までで一番満足のいく仕上がりになったと思う。
ありがたいことに新刊は会場で完売した。本当に良かったね、去年の絶望していた自分。
またいつか、ストイックに挑みすぎて同じことを繰り返さないようここに記しておくことにする。
来年のことは未定だけれど楽しいを忘れず引き続き元気に狂っていきたいね!