一番語るのは無粋な気もするテーマですが、詩を書く人がもっと増えたら嬉しい! という気持ちで詩の作り方についての記事を書くことにしました。特にここでは口語自由詩について扱いたいと思います。口語自由詩は本当に作り方が自由なのでここに書いているのとは全然違うアプローチもあり得ると思いますが、一つの参考にしていただけると幸いです。
まず、口語自由詩という表現形式がどのような性質を持っているのか。もっと踏み込んで言えば、小説とどう違うのか。単刀直入に言えば、詩と小説とは扱う時間の性質が違うゆえに、詩は小説と違ってあらゆる飛躍が許されているところです。稲垣足穂は「詩は歴史性に対して垂直に立つ」と言っていますが、この言葉は詩の中にある時間の特殊さを見事に言い表していると思います。つまり、小説は基本的にある程度秩序を持った(因果関係によって一本で繋がれた)過去-現在-未来の時間軸をもとにして構成されますが、詩はそうした歴史性とも言うべき時間の制約から自由であり、小説とは違った秩序の時空を表現できるということです。例えば、小説の時間軸ならば一瞬でたち消えてしまうような儚い瞬間を、永遠に引き伸ばすこともできます。
詩はこうした時間性の特殊さゆえに自由な飛躍を内包していますが、その飛躍を支えているのが「比喩」という表現技法です。比喩は跳躍・飛躍そのものですが、飛躍の仕方や程度によって、さまざまに受ける感じ・印象を変えることができます。例えば、小沢健二の歌詞の中に「洗ったような月が光るね」というフレーズがありますが、思わず唸ってしまいます。洗ったような! 月を洗うなんて考えもつかないですが、ものすごく綺麗にくっきりと空に浮かぶ月と空気の透明度が目に見えるようです。この飛躍の仕方や角度は人によってさまざまですし、そこが腕の見せ所でもあります。日々「これとこれ、似てるな〜」とか、マジカルバナナとかやってるとけっこう比喩のセンスが磨かれてくると思います。
自分の詩の中にある時間がどのようなものかを意識してみること、比喩を使いこなすことのほかに、言葉のリズムを意識してみることもまた重要だと思います。口語自由詩といえども、まったくの自由というわけにはいきません。というより、まったく何からも自由に詩を書くことは無理だと思います。ダンスをいきなり踊れと言われても型を知らなければ踊れないのと同じで、詩にもある程度型が必要です。しかし、口語自由詩ではその型を作家自身が自由に作ることができます。短歌や俳句との一番の違いはここだと思います。その型作りの手段の一つとして、言葉のリズムがあります。これは本当に自分が気持ちいいと思ったり逆にちょっともたつく感じを感じたりするようなリズムを組み合わせるといいのですが、一番は作ってみてから音読してみることです。詩は歴史を遡ると舞踊と不可分だったというくらいですから、詩は実際に声を出して読まれることが非常に重要です。詩の言葉に作者の身体性が乗るとぐっと面白くなるので、「こういう言葉の響きやリズムが面白い」という一節を置くと一気に作品が引き締まります。あと単純に音読すると自分の作品に対して愛着も湧いてきます。何度も音読をしてみて、ブラッシュアップしていくのがいいと思います。
いろいろ長々と書きましたが、一番は楽しく書くことです。「こういう推しカプ、萌える!」という萌え語りをそのまま詩にしても面白いと思います。というかわたしが作った詩集はもっぱらそんな感じです。とにかく推しカプの良いポエムを詠みましょう。そして、これを見て詩を作ってみた人がいたら、よければわたしにご連絡ください。一緒にわいわい楽しみたいと思います。