観念

えりりん
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30年ぶりにTM NETWORKのライブに行ってきた

昔は解散ライブを観るために大阪から東京まで遠征するぐらい好きだったけど、解散してからはソロも含めて聴いたりライブに行ったりすることもなくなって、復活してからも興味はなかった

今回は開催の3日前にライブがあることを知り、調べてみたら40周年ということでセットリストが昔の曲ばかりで、チケットもまだ買えたので行ってみることにした

パニック障害の私はライブも苦手で、チケットを取ってはみたものの、当日まで行くかどうか迷っていた

しんどくなったら席を離れればいいことはわかっているけど、ありとあらゆる悪い想像をしてしまって、席に着くまでが一番怖い

薬を飲みつつ最後まで大丈夫だった経験なんて今まで何度もあるのに、それでも私はいまだに悪い想像から抜け出せなくて、いつまでたっても怖くて怖くて仕方がない

どうして楽しむ場所に向かうのに、こんなに怖い思いを乗り越えなければならないのだろうといつも思う

もはや楽しみではなくなっている

何をしに行くんだ私は

仕事でもなければ誰かに頼まれたことでもない

しなくちゃいけないことじゃない

怖いなら行かなければいい

訓練しようとか克服したいという思いは今はもうなくなった

だったら無理に行かなくてもいいはずなのに、怖いから行かないと単純に決めることもできず、じゃあ行きたいのかと聞かれれば迷いなく行きたいとも思えない

恐怖さえなければ迷うことなく行けるのに、これを取り除くのはもう無理なんだ

好きという気持ちさえ恐怖には勝てないんだ

恐怖は好きを捻じ伏せてくるんだ

逃げたい思いと逃げたくない思いが錯綜して自分でもどうしたいのかわからなくなる

ひとつだけわかるのは後悔はしたくないということ

だからとりあえず家を出る

行こうともしないのは後悔が残るだろうから、行けるところまで行ってみることにした

途中まで行ってみて無理だったなら諦めもつくだろう

会場まで行ってみて大丈夫そうだったら入場すればいいし、入場して大丈夫そうだったら席に着けばいいし、席に着いて無理そうだったらすぐに帰ればいい

それぐらいの気持ちで出発した

しかし、もたもたと迷っているうちに出発が遅れ、緊張でお腹が痛くなって何度もトイレに行き、会場に着いたのは開演5分前

躊躇う間もなく入場することになり、入場したらすぐに開演して場内が暗くなってしまったのでスタッフの方に席まで案内されるハメになり、これまた躊躇う間もなく席に着くことになってしまった

2階席でステージからは遠いが見晴らしが良く圧迫感がなかったので大丈夫かもしれないという気になった

残念ながら満員ではなく、私の席から後ろはすべて空席だったので、後ろを気にしなくていいのも緊張感がやわらいでよかった

結局ライブは最後まで鑑賞することができた

楽しめたかというと、これはパニック障害になってからずっとのことだけど、100%楽しめることはなくなってしまった

いくら目の前に楽しい光景があったとしても、頭の中には常に不安と緊張がつきまとっていて、楽しもうとする気持ちにいちいち歯止めをかけてくる

なんでこんな思いをしなきゃいけないんだ

何度やっても同じでいい加減もう疲れた

いつになったら好きなことを全力で楽しめるようになるんだ

いくら好きなものや興味を持てるものがあったとしても、それより恐怖が勝ってしまうなら、もう生きていて楽しいことなんて何もないじゃないか

恐怖をなんとかやり過ごして好きなことに参加した後いつも思うことは、完遂できてよかったという安堵と達成感

その後にほんのり、本当にほんのりと、来てよかったと思う

こういうのを繰り返して治っていくのかと思って、行きたいと思ったところにはなるべく足を運ぶようにしていたけど、いつまでたっても単純に楽しさを感じることはできなくて、最近は疲れてきた

わざわざ緊張しに行って終わってホッとするって、最近は自分でも何をしてるのかわからなくなってきた

30年ぶりのライブで、大好きな曲ばかり聴けて、復活に興味はなかったけど、死ぬまでにもう一度くらい観てはおきたいと思っていた願いが叶ったのに、どうしてこんなに心が動かないんだろう

後悔を生まなかったという点で行ってよかったなとは思ったけど、ああ、もう、一生マジで治んないんだなって、薄々感じていたところにいよいよトドメを刺された気がした

@elilin
アラフィフです。独身です。ちいかわが好きです。