今日は朝から大掃除の続きをしようと思っていたんだが、昨日の残業の疲れが出たからか昼までぐっすり寝てしまった。
起きてリビングに行くといつもより眩しくて目を細めたら、天秤が「いまカーテン洗ってるよ~」と昼食を用意してくれていた。一人でやらせてすまんと謝ったら、「山羊くんは昨日遅かったんだしいいんだよ~」とコーヒーを出してくれた。この眩しさは天秤から差している後光かもしれない。優しさがしみわたる。
午後は一緒に窓を綺麗に拭いて、乾かしたカーテンを取り付けた。俺が選ぶと黒か茶色か灰色かといった感じになりそうだと言ったら、インテリアは僕に任せて!と天秤が楽しそうに家中整えてくれたが、カーテンは特にお気に入りらしい。光に透けた繊細なレースと、飽きのこない淡い緑色の爽やかな色が目に心地いい。少し寒いけど換気した窓からの風で時折ふわふわひらひらと動くのが眠気を誘う。
「ねぇ山羊くん、明日はおでかけしない?」
ソファに座ってしみじみとしていたら、肩にポンと手を置かれにこにこと提案された。「買い物か?」というと「そう、これだよ」と首筋をツーっと撫でられて反射的にビクッとした。天秤からの突然のスキンシップには何年経ってもまだ慣れそうにない。「だいぶトレーナーの首周りヨレてきたし、新しい部屋着買いに行こうよ」ということらしい。俺は気に入ったものをずっと着続けてしまうから、あまりヨレだとか気にせず着倒してしまうが、天秤が気になるなら相当ヘタっているのかもしれない。あまりだらしなくて嫌われても悲しいし。はい、買います。
天秤はどんな色にしようかな?とか僕とお揃いのもこもこでも可愛いよね?とか色々提案してくれたけど、俺はまださっきのドキドキに心臓をやられていて、くまのぬいぐるみみたいなもこもこは俺には似合わないと思うぞとツッコミを入れることもままならず、しばらくのあいだ固まっていた。
(山羊くんの日記より)