生き物の最期が気になる

えみ
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石垣に生えた苔や蔓を取り除く作業をしていたら、オレンジ色と黒の縞々模様が目に入り、ぎょっとした。

「死んでるね」

私の側で作業していた母がいう。大きなスズメバチが石垣の植物の陰にとまった状態で動かなくなっていた。スズメバチの胴体は未だに綺麗な状態を保っていたし、肢もすべて揃っていて今にも動きそうなのに全く動かなかった。手袋をつけた手で払ってみるととてつもなく軽い感触で、そのまま地面にカサと落ちた。このスズメバチは寒さにやられたのだろうか。分からない。

ある日には猫が来て、作業の様子を眺めているようだった。祖母の家の近くに最近棲みついている猫だ。隣の家の人が餌をやっているらしい。放し飼いのような感じ。以前祖母の家にもたくさんの猫がいて餌を与えていたけれど、誰かが置いていた鼠用か何かの毒団子を猫たちが食べて皆いなくなってしまった。毒団子の例は特殊だが、元々野良猫である猫たちは、死に際には姿を消す。よく聞く話だし、実際そういう猫もいた。最近見かけるこの猫も、いなくなるときが来るのだろうと思うと胸が苦しくなる。このように姿を消した猫たちは一体どこへ行って最期を迎えているのだろう。気になる。

とここで、意外と人間以外の生き物の最期について知らないことに気づいた。誕生の場面はテレビや本で見たような気がするけれど、死ぬときはどうしているんだろう。検索してみたい気持ちはあるものの、なんだか怖くてやらずにいる。

@emi0x0
遍在する。いろいろとつくるひと。ゆるっと週1~更新目標にしている。フィクションも含みます。