しずかなインターネットではなるべく文章を書かないようにしようと思っていた。
これはなんとなくの思いつきで始めたことだったんだけど、イベントとか体験とかの感想について書くときは結構よくて、この思いつきは無理なく続けることができていた。
例えば、最初の文章をこの思いつきで書き直すと、以下のようになる。
しずかなインターネットでは文章を書かない。
なるべくそうしてきた。
そうしようと思っていた。
なんとなく。
この思いつきがアウトプットや感想の発信行為を助けてくれることもあれば、そうでないこともあるということがこれを書こうと思って初めて気づいた。
『締切 対 先延ばし癖』。

タイトルに惹かれてこれを購入したのだけど、読んでみて気づいたのが思っていたのとまるで違った内容だったということ。
そして、「思ってたのと違ったけどなんかこの本思ってたよりずっといいな。」って思っている。
結論としてこの本はめちゃくちゃよくて、薄い言葉になってしまうけど、多分ぼくはこの本を読んで感動したんだと思う。
感動して、それでその感動を今書いてみてる。
よくある自己啓発本のように、説教くさい内容というか、読んですぐに役立つ TIPS とか、心構えのようなものが書いてあるのだろうと読む前まで考えていた。
でも全然違っていて、著者の方の実体験をずっと書いている本だった。
著者は技術書典の締切を利用して、先延ばし癖を改善して行動を変容させようとしている。
技術書典の締切までの期間を 1 週間ごとに区切って振り返っている。
その記録をずっと書いている。
読み手のための解決方法とか書いてないし、何か再現性のあるような具体的な方法とかも特に書いてない。
この本を読むとなんとなくわかるけど、この著者の方自身も何か正解を見つけているわけではないような気がする。
でもそれがめっちゃリアルでそしてめっちゃいい。
この本はオフライン会場で見つけて、それで思わず買ってしまった(ぼくはこの本について先に書いたような大きな誤解をしていて、そういう本を探していたため)。
たしかこの本は結構会場の奥の方にあって、ぼくは入り口から順番に展示を見ていたから予算はもうだいぶ超過していた。
あと払いというシステムに震えていた。
合計金額とか表示されないし、購入操作がとても簡単でいくら使ったのか全然実感できないからだ。
でも手提げはどんどん重くなっていっている。
今日はもうよさそうな本に出会いたくないなと思っていた。
でも見つけてしまった。
ぼく自身も先延ばし癖があって、それで何か解決方法を、救世主を求めていたんだろう。
この本は何かお告げをくれない。
全然ぼくを助けてくれない、救ってくれない。
ずっと共感できることが書いてあるけど、再現性のある解決方法までは書いていない。
残りのページが少なくなるにつれて、読んでいるぼくも焦ってくる。
「この本はぼくに何か答えを与えてくれるんだろうか、この本を読んでぼくは何か確実な方法を見つけることができるのだろうか。もう残りのページが少ない!このままだとまずい!」と焦る。
これが締切を前に焦る感じと近い気がしていて、さながら著者の記録を追体験しているかのような感覚を味わえた。
それがきっと楽しかったんだとぼくは思う。
ここまで書いてきたけど、この本から得られる学びがないというわけでは決してないということだけ強調したい。
著者はこの本を書くためにめちゃくちゃ試行錯誤している。
しかもそれらは思いつき由来ではなく、今までの行動の反省から解決方法を考えて、実際に試してみている。
そしてその振り返りの内容がとても詳細である。
あんまり自己啓発本を読んだことないから勝手な想像だけど、こんなに詳細に書かれている自己啓発本はないと思う。
この本では、大学の研究結果を参照したりとか難しい人間心理にまつわる〇〇の法則とかの話もしていない(と思う)。
人間心理についての経験則とか見ても「や、そんな気もするけど人によるだろ」って思ってしまうぼく。
とにかくリアルな本だった。
ドラマティックな大きな変化は起こらない。
ただ、毎日小さい変化があって、それで今のぼくらがいるという気づき。
つい数時間前のことなのに、どんな人からこの本を買ってどんな感じで受け取ったか全然記憶にない。
でもこの本に出会えてよかった。
今回の技術書典に参加してよかった。