自分と同じ名前の人に出会ったことが一度だけある。フィクションでは何度もある。
漢字が被っているのを見たことは一度もない。
下の名前に旧字体が含まれている。
旧字体しか登録できなかった時代に生まれたのに、さまざまな名前登録の際に旧字体は表示できないみたいなバグがかなりの頻度で生じていた。そういう時は、仕方ないので新字体で登録する。
そのため、この世界には今も旧字体のわたしと新字体のわたしが同時に存在している。
公的なものになればなるほど、氏名が一致していないと問題になるからか、手書きで対応されるというイレギュラーもあった。
その結果、だれかの書き慣れていないわたしの名前で、わたしがわたしであることを証明する機会がたくさんある。
私は役所に提出するそれをコピーをしながら、ここに人間の意思が介在することってなかなかないよなあ、と思ったりして、少し得をした気分になる。
あなたのおかげで、今日もわたしは客観的事実としてわたしだよ~