昨日、夢を見た。
なぜだか私は東京の大学に通う大学生に戻っていて、大学の友人たちとともに修学旅行に行くことになっていた。
友人たちとターミナルのようなところで待ち合わせ、合流したところで荷物をきちんと準備していたか不安になった。荷物を取りに家に帰ろうとすると、友人から「正式な出発日は明日だから大丈夫だよ。でも朝から出発するから、早く戻ってきてね」と言われた。
そこで荷物を取りに一回自宅に戻ろうとするのだが、東京の知らないビルの間を歩いているとだんだんさみしくなってきて「ここはもう私の街じゃないな」と思った。
するとなぜか急に体が宙に浮かんで、ビル群の上をすいすいと泳ぐように飛び、時折風に流されながらも地元を目指す。
こんな夢だった。
目が覚めてから思ったのは、「前に見ていた夢の内容と随分変わったんだな」ということだった。
大学を卒業し地元に戻ってからしばらくの間、私は頻繁に東京に行く夢を見た。東京行きの電車に乗る夢だったり、東京の友人たちと遊んだり、そういう夢だ。
親に求められ、また私自身も東京という場所に疲れて地元に帰ったけれど、東京に未練がないわけではなかった。
それに就職した職場の環境もあまり良くなかったし、地元の友人もほとんどいなかったので、東京とそこにいる友人たちが恋しくて仕方がない。
「いつかは東京に戻ってみせる」そう思いながら日々を過ごしていた。
今思うと、願望が直に夢に反映されていたのだろう。
だが、恐らくコロナ禍あたりを期にそんな夢を全く見なくなり、また私自身東京へ戻りたいという思いも次第にしぼんでいった。
東京に対して抱いていた憧れや懐かしさ、文化と流行の発信地で享受できる様々なメリットを魅力的に感じなくなってきた。
友人たちとの付き合い方も変わった。みな結婚したり子供を産んだりとそれぞれに生活があり、どこにいようとももう大学の頃のように顔を合わせることもできなくなった。
それと、非常時における都市の混乱ぶりを見て「あんなところで私は生き延びることができるだろうか」と思ったというのもある。
その頃には、私が東京にいた頃の年数を、地元に帰ってきてからの年数のほうがはるかに上回っていた。
もう、東京は私の街ではなくなった。そのことをはっきりと感じた夢だった。
なんだか随分遠いところにきたような気がする。