はじめに
TRPGをやっていると享受できるメリットの１つに、「素敵な絵を毎日のようにTL上で見ることができて楽しい」があります。
以前は心の中で「エアいいね」してたのですが、最近は勇気を出して「いいね」を押すようにしています。絵を上げてくれる皆様、いつもありがとうございます。
自分は絵を描くことが好きではないので、楽しそうに絵を描く皆様を羨ましく思うことがあります。もっと絵を楽しめるような人生を送りたかったぜ、というやつです。
小さい頃は絵を描くのが楽しかったはずなので、何かしら嫌いになった理由があるはず。改めて振り返ってみると、いくつか思い出しました。随分時間が経った今でも、割とはっきり覚えているので、それなりに影響を受けた出来事だと思います。
せっかくなので供養代わりに書き残しておきます。見返すと悲惨なエピソードにも感じますが、個人的にはどれも笑い話の範疇です。
幼稚園 絵は誰かに評価されるもの
「みんなで１つの大きな紙にたくさんの動物を描こう」という遊びを副園長が企画し、用意されたデカい模造紙に自由に動物の絵を描くことになった。
前日くらいに「どうぶつ奇想天外」的な番組で観た、ライオンがシマウマを捕食して顔が血で真っ赤になっているシーンが印象的だった。シマウマも地面も真っ赤で、「これがリアルか！！！」と衝撃を受けたことを覚えている。
ライオンとシマウマが仲良く笑ってるのは紛い物（ "フェイク" ）だ。俺が本物 ( "リアル" ）を見せてやるぜ。
そんなHIPHOPな気持ちで、捕食シーンを描くことに決めた。赤いクレヨンを使ってグリグリと、血も豪快に描きまくった。
渾身の出来だったので、まずは担任の先生に見せた。新婚で最近苗字が変わった先生は「かわいそうー」と眉根を寄せていた。
分かるぜ先生、でもそれが "リアル" なんだわ。
結婚するような立派な大人ですら「かわいそう」と思う "リアル" を描いちゃう俺カッケーと自尊心が満たされた。承認欲求は大きくなり、企画発案者の副園長先生にも見せた。
バッチバチに怒られて、グッシャグシャに泣いた。
大人になった今では、怒られた内容は思い出せないけど、副園長が怒った気持ちは分かる気がする。
後日、自分の描いた "リアル" は、上から木の絵が貼られて隠された。そんな "フェイク" を見ながら「せっかく描いたのにダメだったんだなー」的なことをぼんやりと思った。
人生で初めて自分の絵が第三者に「評価」された瞬間だった。
小学校低学年 絵が上手じゃないと知る
当時はまだ絵を描くのが楽しかったので、よく自由帳にキャラクターや想像したドラゴン等を描いていた。純粋に自分の満足する絵が描ければそれでよく、自分の中に「絵の上手さ」という尺度は存在しなかった。
図画工作の時間、授業として絵を描くことになった。普段と同じように好きに描き、満足する出来のものができたので提出した。
「もっとちゃんと描きなさい。」
そう言って突き返され、何がダメなのか全く理解できないまま、何度も提出してはNGを食らった。自分なりにちゃんと描いているのに、OKが出ない。
「あなたのは下手なんじゃ無くて雑なの。分かる？」
俺が上手じゃないことは分かった。
小学校低学年 絵が下手と知る
図画工作の時間は大嫌いになったので、絵も工作も適当に作るようになったが、まだ自由帳には好きな絵を描いていた。
確かワンピースのルフィだったと思う。図画工作の時間に褒められることの多いS君が、俺の描いたルフィを見て言った。
「ヘッタクソ。」
自分の描いたルフィが「下手なルフィ」に見えるようになった。
小学校高学年 絵が晒される
この頃にはもう自由帳にほとんど絵を描いてない。自由帳では棒人間を使って、みんなでRPGのようなストーリーを作る遊びをしていた。よく考えたら最初に遊んだTRPGはこれな気がする。
そんな高学年のある日、大嫌いな図画工作の授業で自画像を描くことになった。
下手くそなのは理解しているけど自尊心は守りたいので、いつも通り自分を守るカードを切る。「自分、本気出してないだけなんで。本当は下手じゃないっす。これは雑に描いてるだけなんで。」という逃げの一手。
適当に描いた自分の顔には唇がなく、スイカみたいな口で笑っていた。
後日、廊下に絵が貼り出された数十枚の中で、デフォルメされてバカみたいな笑顔を浮かべているのは自分だけだった。他は全て唇まで描かれており、自分の顔と絵としっかり向き合った、とても大人びた表情をしていた。
自分の顔だけ小学校低学年が描いたんじゃないかというくらい幼稚な絵に見えて、とても恥ずかしかった。
おわりに
ここだけ切り抜くと随分悲惨な小学校生活に見えますが、そんなことはなかったです。他はとても充実してました。
制約と誓約的なものかもしれない。